柳に風

強風が吹きすさぶ。
枝がもぎ取られ、葉がちぎれとぶ。
帰り道駐車場までの木立で、ギシギシと枝や幹が揺すられる音と
枝葉の間を吹き抜けていく風のゴウゴウという音。
なんともいえない不気味な感じ。

昼間は外の階段を下りようと踏み出したとき、
横風に足元をすくわれ1段踏み外した。
一瞬からだが浮いたかと思ったぐらい。
飛ばされそうだ。
台風よりも冬型のお天気の風の方が強いんじゃないだろうか。

風の話で思い出した。うちの系列の石垣島にあるホテルでのこと。
台風の通り道になるその場所での風速は50メートルを超える。
島のハイビスカスなどは風に振られて葉を全部落とすという。
だが、そのホテルの前の海に浮かんでいる小島の木は、
風に枝や幹をしならせて、葉を落とす事も枝を折ることもないという。
いつもその土地で吹く強い風の中で何百年、何千年の時を経て進化し
耐える術を身に付けたのだと思う。

人もおんなじ。
どんな逆境の中でも適応する術をいつしか身に付けていく。
その中で葉をもがれ、枝を折られるか
枝も幹も風にまかせて飄々としているか。

折れずに乗り切れるといいけど。