8時と20時

時間で紛らわしい言い方がある。
1時(いちじ)と7時(しちじ)8時と20時など。
だからこの仕事に就くようになって、いつしか時間は必ず24時間で案内するようになったし
7時はしちじでなくななじ、という癖がついた。
何故なら、ゲストとスタッフ側との聞き違いで痛い思いをしたことがあるからだ。

お嬢様、ご両親のご家族でいらしたお客様。
新入社員が、お嬢様のスパの夜8時からの予約を受けた。
食事が7時頃から予約が入っていたので、それと重なってしまう事に後から気づき、
朝6時頃ゴルフにお出かけの両親をつかまえて食事の予約時間の変更を提案。
・・・そこで問題発覚。
予約は20時ではなく、朝の8時からしたはずだ、と。
お嬢様はそれに合わせて7時に起床し朝食を取る予定だという。
ゴルフが終わった後で外でお嬢様と午後合流する予定だ、と。
お父様は、そちらが承諾したのだから、そのようにしてくれないと困る、
してくれて当然じゃないか、と吐き捨てるように言いそのまま出かけていった。

!!!!!

朝出勤して早々、そんな引継ぎを受けて寝耳に水の私。
ひとまず朝食にいらしたお嬢様に真実を話しお詫びしなければ。
そして同時になんとか早い時間で予約枠を確保出来るよう、
まだ出勤していないスパの責任者に電話して頼み込む。
それらしき方を見つけてひとまず平にお詫び。
お詫びは聞き入れてくれたが、とにかく代替案をなんとかして提示しなければ。

責任者と相談し、案を練ったところ、
ちょうどフロントからスパに応援に出ているスタッフが、今日はフロント勤務。
午前中の枠は空いているのでスタッフさえいればなんとかゲストを案内できる。
フロントの人員はなんとかこちらでカバーすればいい。
なんとかなる!
あとは本来の予約のコースとは違うのをご了承いただければ・・・。
お客様にその旨ご案内したところ、快諾。良かった。

早朝からのドタバタ劇が終わる頃、予約を取った当人が出勤。
どう案内をしたのかを聞いたら、8時と聞いて元々予約枠のある20時を連想してご案内したとのこと。
こちらの思い込みが、間違いに繋がる。
自分の失敗談も含めてそのスタッフに説明し、気をつけるよう諭した。
(その後それに関わった別のスタッフ数人にこっぴどく叱責されていたようだけど・・・)
間違えたスタッフは、多分もう同じ間違いをしないと思う。
こうして皆失敗をして成長していく。

そのドタバタ劇が昨日の朝のこと。
今朝、そのお父様とお嬢様が2人で歩いていらっしゃった。
穏やかに笑いながら歩いている様子を見て、滞在を台無しにせずに済んだことに
ほっと胸をなでおろすと同時に、案内の難しさを痛感した出来事。