じょいやさ、じょいやさ

気づけば8月最後の日曜日。
毎年この時期を満喫することはない。
超繁忙期と重なるせいでああ夏が来た、と思ううちにあっという間に走り去る感じ。
ふと我に返るともう秋になっている。
夜はキリギリスやコオロギなど虫の声が賑やかになってきた。

仕事が休みで目覚ましをかけずにいつまでも寝ていようと決めた今日、
結局は昼前にインターホンの音で起こされた。
インターホンを押した主は大家さん。
その手には熱々のとうもろこし。茹でたてだそうだ。
こんなお邪魔は悪くない。

当然朝食は甘くてみずみずしい熱々のとうもろこし。
そしてそれからしばらくしてまたインターホン。
今度は何かと思ったら、今もらったの、と今度は桃がやってきた。

こんなおすそわけをもらうとき、私の中には何故かかさこじぞうの話が思い浮かぶ。
夜更けに『じょいやさ、じょいやさ』と貧しい老夫婦の家に
傘を被った六地蔵が野菜や魚を届けた昔話だ。
子どもながらにこの『じょいやさ、じょいやさ』という響きが妙に気に入ってしまい
何故か人からおすそ分けをしてもらったとき、
大人になっても私の頭の中ではじょいやさ、じょいやさ、という言葉がまず浮かぶ。

おすそ分けに恵まれた日。