お風呂コミュニティ

実家ではほとんど風呂に入らない。
いや、正確に言えば家の風呂には入らない、という事になるが。

近所に温泉があって、そこに毎日のように通っている。
(なんせ1年分の回数券を購入しているらしい)
別に風呂釜が壊れている訳でもなんでもないのだけれど、
何故か実家での習慣に私が慣らされてしまった。
家のお風呂よりも当然広いし何より温泉だからよく暖まる。

こんな風に毎日温泉に入りに来ているのはうちだけではない。
ここの温泉にうちのように毎日足しげく通う人も多く、そこに常連さんのお風呂コミュニティが広がっている。
家で取れた野菜をおすそ分けしたり、お取り寄せした美味しいお菓子やお味噌を交換したり。
変り種ではすっかり実家に馴染んで実家の子になりつつあるプレーリードッグの防寒用の着古したセーターをもらったり。
裸の付き合いとはよく言ったもので、毎日顔を合わせるうちにいろいろな人との付き合いの輪が広がり
情報交換(というより井戸端会議)が活発に行われている。

私はそのコミュニティーに分け入るつもりもないし、年代も合わない。
そもそも何となく煩わしく感じてしまう方なので、一緒に行くのに付き合っているだけなんだけど、
そんな風に積極的に様々な人とコミュニケーションを取る母には本当に頭が下がる。
お風呂に行く約束を取り付けている訳ではないけれど、
いつもそこに行けば、いつもの馴染みの顔がいて。
なんだかそんな場所って悪くないなぁって思う。

あれをもらったから、今度はお返しにこれを持っていって・・・。
何となくそういう母の世代や田舎の付き合いでは当たり前にされているような
『お付き合い』は私の概念にはあまりない。
でも人と人との繋がりを築く上でこういう情報交換やら
何かもらった相手に対してのささやかなお返しやら
それって結構大切だったりするのかもしれない。