霧が立ち込めて、そして晴れる

もともとお酒は好きなほうだ。

大酒飲みの父の血を引いたのか知らないけど
とりあえず、なんでも飲む。あ、でも日本酒は何となく苦手かな。
一時期きっぱりアルコールとは縁を切っていたのだが、最近また、ちびちび飲むようになった。
最近飲んでいて思うのは、ただ酔うため、ではなくその時間を楽しむために。

だから飲もうという物に合わせて必ずつまみを用意する。
あるときはホタルイカのガーリック炒め、
あるときはアンチョビバターをつけたクラッカーやジャガイモ。
あるときはソーセージやドライフルーツ、チーズ。
どこかに飲みに行く訳でもなく、また誰かと飲む訳でもないので、
何となくわびしくなりがちだから。

そう思うのだけれど、今日は自分の意図通りに進まない出来事があって、イライラしていた。
だがイライラしても人が絡むことなので、どうにもならない。
いつものように作ったおつまみを食べながら、飲み、そして飲み、飲み・・・
気付けばなんだかひどくすさんだ気分。
アルコールってその時の気分が増幅されがちだから、まぁそうなるのは分かっていた事なのだけど。
ふと友人に愚痴のメールしたら電話をくれた。

大した話もしていないのだけれど、1時間もよもやま話をするうちに
気付けば気分的に立ち込めていたぱーっと霧が晴れた感じ。
まるで軽井沢の天気みたいだ。

この土地はよく霧が出る。一般的な霧とは違う、山の天気特有の濃い霧だ。
五里霧中という言葉があるけれど、それをまさに体感している気分になる真っ白の世界。
さっきまで晴れていたのに、急に雲が立ち込めてそして気付けば真っ白な霧の中、
そんな事もしょっちゅうだったりする。
それはえてして生活する上ではとても厄介な事なのだけれど、
その霧にかすんだ景色はとても神秘的だし
夜気温が恐ろしく下がるこの時期は朝方の真っ白に木の枝に付いた霧氷、
車のヘッドライトに照らされてキラキラ光るダイヤモンドダスト
普段では見られないものを見せてくれたりもする。

友人と話をした内容は愚痴とは全くかけ離れた世間話だったのだけれど、
私の心の霧が晴れたのは、多分誰かと話したかったからなのかな。
話しながらも飲み続けた私は、いつもよりもだいぶ飲みすぎたのだけれど、
それでも気まぐれに立ち込めた霧をすっきりと晴らしてくれた友人に感謝。