こんな出逢いも悪くないでしょ?

うちはお宿であって、レストランではない。
予約すれば食事のみも可能だが、
レストラン名も一緒に入り口の看板に掲げているせいもあってか、
ふらりと食事しにやってくる方もいらっしゃる。
予約ナシでの食事のご用意は難しいが、景色を眺めて一休みなら大歓迎。
そんな感じで、何故だかふらっとやってきた方とお茶を出し話すことや、
近隣の観光スポットやレストランの案内をすることもたまにある。

今日やってきたのは二人組のオバサマ。
どうやら斜め向かいの別のお宿にお泊りの予約を入れていて、
バスで来たのだが早くつきすぎてしまい、軽くお昼を食べられる場所を探していたのだという。
道から数十段ある緩やかなエントランスの階段を上がって、
高台のうちまで声をかけに立ち寄ってくれたものの、
残念ながら、うちではオバサマ方のサンドイッチが食べたい、というご要望にお答え出来そうにない。
食事処や軽食が食べられるカフェなどは車で5分から10分、戻らなければならないので徒歩では無理。
バス停から下って歩いていらした坂道を、
またうんとこどっこいしょ、と10分ほど上って歩いて戻れば、その近くのホテル内にカフェはある。
そんな案内をしがてら、話を伺ってみたら・・・

今日の旅行は本当は3人で来る予定で、
車を出してくれるはずのご友人が急遽具合が悪くなりこられなくなったとかで
それでひとまずふたりで来ることになり、急遽予定を変更。
どうにかこうにか電車やバスを乗り継いで来たものの、
予定が狂ってしまったので、
何にも考えずに、とりあえずどうにか目的地までたどり着いたところだという。
心なしか疲れているようにも見えた。
普段全部決めてから動くタイプの方にとっては、
こういう予定外の行動って意外と疲れるものだ。

あ。そうだ!

その近くの食事が出来るホテルではカフェ以外にお蕎麦も最近始めていたっけ。
オバサマ方の泊まるお宿の夕食はフレンチだから、意外とお昼は軽めの方がいいかもしれない。
もちろんお蕎麦が万が一苦手でも、パンを召し上がれるカフェもあるから、そこでも問題ないし。
そしてそこまで荷物を持って坂道を上って行くのには意外と大変だし、
もし良かったら送りましょうか?とご提案。
言ってしまえば、迷ってやってきた、うちのお宿には全然関係のないオバサマ2名様を
うちとは関係のない、近所のホテルまでご案内したということだ。

いったい関係のない方に対して何やってるの?と言われそうだけど。
いいのいいの。うちに立ち寄ってくれた方はみーんなお客様。

素通りせずにせっかく足を止めて立ち寄ってくれたのも何かのご縁。
予定を決めずに動く旅もまた悪くないでしょ?とにっこり笑う私。
今回具合が悪くなって来られなかったご友人と3人で、
もう少し暖かくなって芽吹いた頃に、今度はうちのお宿に遊びに来てくださいな、と。
私の名刺をお渡しして、また逢いましょう、私宛に連絡をくださいな、と。

ホテルのエントランスまでお送りし、帰りがてら、ルームミラーを見たら、
オバサマたちはすぐにホテルには入らずに私の車が見えなくなるまで手を振ってくれていた。
自分がいつもお客様にしていることだけれど、自分がされたことってそういえばなかったなぁ。
なーんてちょっとこそばゆい気分。

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またあのオバサマたちに逢えたらいいなぁ。
きっと来てくれると思う。今度はうちのお宿に泊まりに。

結局・・・お昼で帰ろうとカウントダウンしていたのなんてすっかり忘れて
あれこれ今まで仕事していた私。

まかないが出来たから取りにおいで~、という内線電話をもらい、
嬉々として厨房に行ったら、ありゃ?オマエまだいたんか、
朝はもうこの時間にいないって言ってたからオマエの分作ってなかったよ、と
笑いながら慌てて私の分も盛り付けてくれた料理長。

あ、すみません。でも作ってくれてよかったぁ。