月までもう少し!

運転する事が好きだ。
車は移動手段としてではなく、「相棒」としてとらえている。
免許を取得したのが20歳の冬の事、それから13年。
相棒が変わること3回(今のじゃじゃ馬姫は3台目だ)、延べ距離数なんと30数万キロ。
地球から月までの距離が38万と数千キロ、
つまり私は、まもなく月へ到達するだけの距離を今まで運転したという事だ。

放浪癖が身に着いたのは車に乗るようになってから。

だけど、こうして相棒となるまでには、数々のあり得ない出来事を経ていたりする。
実は免許を取得するには、丸1年かかった。
絶望的に運転が下手だったのだ。マニュアルで免許を取ろうとしていたのだが、
あまりにまともに動かせないものだからオートマ限定にするよう進言される事数知れず。
それでも私はマニュアルで取った。どうしてもそこにこだわりたかったから。

でも、そんな状態でどうにかこうにか取った免許。
まともに路上で一人で走れる訳がない。
前進は出来るのに、後退が出来ない…つまり駐車出来ないのだ。
縦列駐車がどうとかそんなレベルではない。
バックで駐車場の枠に入れられない、という本当に免許取れてるの?というレベルだ。
まずは初代の相棒は買ったその日に実家の石の門扉に車をぶつけた。
広い公園の駐車場でバックの練習をするも、まともに枠に入らない。
結局後退もままならないまま、私は150キロ運転して栃木から千葉へ!
当然多数の見知らぬ方々に多大なるご迷惑をかけながらのどたばた珍道中だった。

運転が上手になりたい。
放浪癖の最初はそこだった。人の3倍練習してやろう、と。
ただ用もなく毎日同じ道を走り、片道40キロの道のりを練習経路にした。
後退する感覚を身に付けたくて、九十九里浜の片隅でひたすら後退練習をした。

それから10数年・・・
相棒3台目にして夢だったマニュアル車に乗るようになり
先日行った筑波山で、渋滞の坂道を延々と上がり、満車の狭い狭い駐車場に入庫した時に
「いやぁ、運転上手ですねぇ」と土産物屋のおばさま。
いやいや、謙遜でもなんでもなく、未だ私は上手だとは思っていない。
まだまだ練習中。
それでも、駐車場へはどんな狭い場所でも2,3度の切り返しでびたっと入るようになったし
縦列駐車だって別に苦じゃない。
それでも、減速時の変速ショックがあるなぁ、うーん今のカーブはもう少し…
そんな風に未だに運転しながら考える。

いったい私はどこへ行こうとしてるのかって。
目的地があるから、出かけるんじゃない。
ただ、私は相棒とともに走りたいだけだ。
1代目の相棒、カローラレビン、2代目の相棒、アルテッツァジータ。
そして今… ポロGTI(別名じゃじゃ馬姫)、これからもどうぞよろしく。