雪あそび
雪が降る事はよくある。
だが久し振りのまとまった雪。
ホテルの周辺は平均で40cmほど。
吹き溜まりの場所は60cmぐらいあっただろうか。
うかつに足を踏み入れると大変。
現場は大混乱だった。
雪が止んでから、山から吹き降ろす強い風で
雪が巻き上げられて、地吹雪になる。視界は1mもない。
吹きだまった雪で道路状況も最悪。
一度止まったら、もう2度と動けなくなる。
出勤するスタッフの車が雪道ではまってしまい坂道を登らなくなる。
ゲストを乗せたバスが同じ場所で吹き溜まりにはまって動けない。
さらに雪かきが間に合わない。
慌てて動くスタッフには転倒する者が続出。
そして風が強い上で起きた事件。
風速20m近い暴風の中で重い重い木の扉が勢いよく閉まり、
それに打ち付けられてはさまれたウェディングの姉御。
事務所に戻ってきた彼女は風で髪は乱れ、ジャケットには何故かどこでつけたのか土汚れが沢山。
わき腹をおさえてよろよろ。その形相はまるで戦場から帰ってきた落ち武者みたいだ。
吹きすさぶ風の中での雪かきで皆頬や鼻は真っ赤だ。
風速20m近い暴風の中で重い重い木の扉が勢いよく閉まり、
それに打ち付けられてはさまれたウェディングの姉御。
事務所に戻ってきた彼女は風で髪は乱れ、ジャケットには何故かどこでつけたのか土汚れが沢山。
わき腹をおさえてよろよろ。その形相はまるで戦場から帰ってきた落ち武者みたいだ。
吹きすさぶ風の中での雪かきで皆頬や鼻は真っ赤だ。
疲れるし皆は嫌がるが私は雪かきが大好きだ。
だが、今予約の私は外には出られない。
恨めしそうに窓の外を眺めながらデスクワーク。
外に出れば、どっさりの雪が私を待っている。
ああ誰か代わって欲しい…。
そんな中…。
室内にいることが耐えられなくなった私は
食事休憩の時間を削ってダウンジャケットに長靴という出で立ちで
誰も行きたがらない山の中に足を踏み入れる。
まっさらの雪に初めての足跡をつけたかったから。
みんな必死に雪かきの中、休憩時間に山をてくてく。
膝まで雪に埋もれ、場所によっては太ももまで雪の中。
風の中で遭難するんじゃないかという中、
周りを見回して誰もいないことを確認し、
仰向けにばったり倒れてみる。
ふかふかの新雪。隙間の至る所から雪が入ってきて冷たい…。
そうだ、ここはスキー場でもそして今はオフでもなかった。
また仕事中なのを忘れていたらしい。
雪の中には150cmの人型。殺人事件の現場みたいだ。
…慌てて我に返って人型を踏み潰して証拠隠滅。
でもこの雪景色を眺められのはたぶん私だけ。
だって誰もこんな山の中に歩いていこうとは思わなかったから。
文字通り独り占めの景色。