どたばた劇場

出勤したら新しい業務てんこ盛りだった。
今日からシフトが昼間はフロント、その後で夕食のサービスに変更されていた。
しかも今日はたまたまフリードリンクを用意してあるライブラリーの掃除まで入っていた。

通常とここのホテルはチェックインの仕組みが違う。
駐車場から客室は1キロ以上離れた場所。チェックインの手続きをした後で
送迎車にゲストを乗せて離れの客室まで車でご案内。
まずはその送迎車の運転教習から始まった。

客室まではとにかく道が狭い。
1000ccの車やっと1台分の車幅の道。
しかも入り組んだ非常に分かりにくい道筋でS字、クランクばかり。
道の両側には石や外灯があったりして突起物、障害物だらけ。
ちょっと寄せすぎたりハンドルを切りすぎれば確実にぶつかる。
(その証としてどの車も実は大小さまざまな擦り傷凹みだらけだったりして)
道にギリギリ寄せて止めればその脇をこれまたギリギリで別の車がすり抜ける
車幅感覚がゼロの私にとっては世にも恐ろしい駐車スペースもある。
自分の車の車幅感覚だった怪しいのに、乗り慣れない車の感覚が分かる訳がない。
そんな状態なのに助手席に他のスタッフが乗ってもらい私の運転をチェック…。

ハンドルの持ち方駄目。内掛けハンドルは禁止だそうだ…)
カーブで余計にハンドルを切りすぎ。
ミラー見なすぎ。バックの時私は窓を開けて目視する癖があってドアミラーでバックできない)
カーブで減速が足りない。
急にブレーキ踏みすぎ。これでは乗っているゲストが酔う!
…これ全部言われた事がある。教習所の教官に!
つまり私免許を取って8年経っても全く進歩してなかったらしい。

駄目だしだらけで緊張して直立不動で運転。
細いカーブをぐるぐる抜けるうち、気付いたら…うぅぅ気持ち悪い。
自分の運転で酔った私。ゲストがどうこう以前、最悪だ。
チェックインの流れは分かっている。どこに行っても流れは一緒。
だけど…どうも車の運転がネックになりそうだ。
ドライブが好きと自負している私だが運転はお世辞にも上手とは言えない。
ただ人よりも距離を乗っているというだけのこと。要は下手の横好きというやつだ。
というよりもなんか公道を走っている上では多少ハンドルを多く切っていたって
ミラーを見てバック出来なくたって大して困らない。
だが仕事としてやる以上それじゃ駄目だ。
チェックインが済んでぞくぞくと車に乗ってご案内されていく様子は
まるでディズニーランドのジャングルクルーズである。
あぁ私もちゃんとできるようになるんだろうか
…というか確実に出来ようが出来まいが関係なくやらざる得ない。
参ったな。部屋の場所も覚えてないのに。

ディナーはディナーで今日もコミドラン。
シェフドランのサポートのはずが今日一緒に組んだシェフ、
料理を出しに行くと話し込んで戻ってこない。
その間も他の席の料理はどんどん進行させなければいけない。
とりあえずどのタイミングで進めるのかよく分からないけれど
とにかく料理をオーダーし、ランナーが運んできてくれた料理を必死で出す。
えーーっとご飯が左、味噌汁が右…
あれ、やっちまった、向かい合わせの席で同じ向きで出しちゃった。
こんなんばっかである。
正直に言おう。
とにかく料理を出し進行させるのに必死で接客の余裕なんてなかった。
ランナーも何故か回ってこず、下げた皿を洗い場まで下げ、飲み物を作って出し、
そしてゲストに料理を提供し…もう汗だく必死の形相。
余裕なんて欠片もない。
終わってみて気付いたのはどどどっと疲れていた事。
結局その後倉庫の片付けまでして結局3時間半の残業で終了。
きっとこれからこんな毎日。

初めての事を覚えるのに必死でゲストと話す余裕すらない。
早く自分の接客がしたい…。