スリップ

いやいや降った降った。昼過ぎまで吹雪だった。

チェックインの建物から送迎車で敷地まで案内する道も当然積雪。
1000ccほどの馬力のない小さな車、雪道ではスタッドレスタイヤでも無力である。
過去に自分の車でスリップ事故を起こした事もあるけれど、
それでもある程度の速度を守って、そろりそろりと運転すれば車は前進してくれることも知っている。

が!今日はどうにもこうにも進まなかった。

とあるお客様からの系列の丘の上にあるホテルに行きたいという要望を頂き送迎したのだが、
その丘の上までの急な坂道でのことである。
坂道に入った途端に前輪がスリップして空転し始める。
なんかやばいかも、という嫌な予感はあったのだけれど、
それでも勢いをつけて登りきればなんとかなると思っていた。
坂のちょうど中ほどで、立ち往生している別の車。否が応でもそこでストップ・・・。
一度停車したあとでアクセルを踏み込んだのだが、もう前には進まない。
無意味に空転する前輪、そして無駄に上がる回転数。
バックして勢いをつけようといったんは下がって登り返したがやっぱり駄目。
空転し蛇行しながら数メートルは進んだが、結局丘を上がりきれず、
仕方なく車を路肩に止めてゲストをそこで降ろして歩いてご案内しようとしたら、
ちょうど通りがかった敷地内送迎のワゴン車を発見してお客様はそれに乗車。

・・・さて、路肩から車を出そうとしたら。
雪に埋もれてしまいもう前にも後ろにも進まない。
助けて。

でも不幸中の幸い。今日はついていた。
ゲストは送迎の別の車に乗せたし、スタックして動けなくなって困っていたら
ちょうどそのホテルの男性スタッフが歩いて通りかかり捕まえて助けを求める。
スタッフに運転してもらって私は後ろから押したらやっと脱出。
そのままバックで坂を下りて、なんとか戻った。

チェックインの忙しい時間帯を前にちょっとした大冒険の気分。
出勤早々もう帰りたい、と思うような出来事だった。