乗れなかった船

敷地に川が流れているのだけれど、その川に行灯がプカプカ。
その行灯は担当スタッフが毎日船を出して回収して火を灯している。
お客様にその点灯ののどかな景色を部屋から眺めていただきたい。
そして夜になってそのほのかな明かりが灯る幻想的な景色を楽しんで頂きたい。
そんな目的に毎日あるちょっとしたイベント。

今日はその担当の日。
その担当は持ち回りなのだけれど、私は夏に1度やったきり。
普段の業務では私が担当するなることはなく、
今月は他部署に出向中なので当番が回ってきた。
実はその担当をすごく楽しみにしていた。

が・・・。
それほどまでに楽しみにしていたというのに
今月初旬に担当だったのを実はすっかり忘れてしまい、終わる頃になってはっと気づいた始末。
あわてて走っていったら、もう既に終えて着替えている所だった。
落ち込む、落ち込む。それが10日ほど前のこと。
そして今日がそのリベンジの日。
ちょうどその時間の前が休憩で、休憩を終えていそいそと待ち合わせのバックヤードに行ってみたら。
あれ?誰もいない!その場所はもぬけの殻。
どうやら私、出遅れたらしい。時間ちょうどに行ったのに。
不思議なコスチュームに着替えるのだけれど、
普段やらない私、何気にどうやってそのコスチュームを着たらいいのかもよく分からない。
分からないけど一刻も早く着替えていかねば。

唐傘をかぶって、防寒スーツに着替え、そして蓑を背中にまとう。
蓑なんてどうやって付けたらいいのか分からないので無理やり首元で紐でしばって出動。
蓑の紐が首に食い込んでひどく苦しい。
そんな事も言っていられないので小走りで敷地に行ってみると
同じコスチュームの他のスタッフに出会った。
今日は私以外の人が時間より早く集まったのでたまたま早めに始めたとかで、
なんと、もうすでに終わっていて片付けるところ。
しょんぼり、がっかり。
泣き出しそうなぐらいの落ち込みようで何故時間まで待ってくれなかったのかと猛抗議。
あららゴメンネ、と苦笑いのほかの人たち。
何よりこの当番をこんなに楽しみにしている人なんてきっと私以外にいないかもしれない。
コスチューム着られたし、いいじゃないの、と変なフォロー。
子供みたいに頭から湯気を出す勢いで、本当にやりたかったのに!!!と本気で怒る私。
多分こんなに怒ったのは、冷蔵庫のプリンを勝手に食べられた以来だろうか。
(というか私の怒りの基準がなにかおかしい)

来週またその担当がある。今度こそ船に乗れるリベンジを誓って。