久しぶりにホテルマンに会った

ああ久しぶりにホテルマンに会った。
なんかそう強烈に感じる出来事があった。

前職ホテルのコンサルタントとしてちょくちょく出入りしていて関わりがあった方が
仕事でこの土地を訪れていてお会いする約束をしていた。
場所は数年前に創業110年を迎えたジョンレノンも愛したという老舗ホテルのカフェテラス。

テルマンだったその人の何がさすがだったかといえば。
コーヒーが出てくれば、何も言わずにすっとお砂糖を私の方へ。
彼に仕事の電話がかかってきて席を中座したのだが、
戻ってきたらほどなくしておかわりのコーヒーが運ばれてきた。
飲み物なくなったなぁと思っていたら適当なタイミングで頼んでくれていた様子。
過去に都内の会員制ホテルで支配人をしており、
今はホテルのコンサルや再生に関わるその人の気配りや立ち居振る舞いは、
嫌味でもなんでもなく本当に自然で、さすがだなぁ、と。
仕事以外の場では猫背になりがちな私。
その老舗ホテルの凛とした空気のせいなのか、
それとも目の前にいるその人に影響されてなのかわからないけど
気づいたら背筋がすっと伸間の時間。

その人とよもやま話をしながら考えた。
顧客思考について説くマニュアルはあっても、
相手を慮る行動にはそのシーンによって、相手によって異なる。
決してマニュアルでカバーできるものじゃない。
仕組みづくりとオペレーション思考に凝り固まった人たちの中で
拒絶反応で気を病んでしまいそうな状況の私。
大きな規模のホテルになればなるほど、働くスタッフは多くなる。
その全員が顧客思考で、全員が適切なタイミングで適切なサービスを提供できればいい。
だけど、残念ながら全員がそうではない。
だから運営していくには仕組みもオペレーションも必要。

そっか。どちらに偏っても駄目なんだ。

前職のホテルは『人』が動かしているホテルだった。
今いるホテルは『仕組み』が動かしているホテルだ。

相手を慮るサービスを提供していくことが私の信念。
前職のホテルになかった仕組みやオペレーション思考を学ぶのは悪いことじゃないし
両極端のフィールドで働くことで、自分の中に違う引き出しが増えるのはきっとプラスになるはず。
オペレーション思考の周囲の人たちと違うひきだしを持つ私がぶつかるのは当然のこと。
周囲を否定する必要もないし、それに自分の考えを曲げる必要もない。
私は私だ。

正直言ってもやもやはすぐには晴れない。
だけどなんとなく自分の進むべき方向性が見えたような気がした。