厚い封筒の中には

先日お詫び状を出した方から手紙が届いた。あて先は私の名前。
封筒がずっしり重い。
・・・なんだろう、嫌な予感がする。
実は読むのが怖くて封を開けられず、他の人に先に読んでもらった。
大丈夫だよ、とにっこり。そこで初めて目を通す私。

その方、先日のチェックアウトの怒涛でタクシーの手配がその方だけ漏れてしまい、
さんざん待たせて怒らせてしまったお客様。
素直に状況のご説明とそして謝罪、ハーブティーを一緒に同封したのは数日前のこと。

お手紙では、スタッフの落ち度についてのご指摘もあったが
一番動き回って気にかけてくれていた茶色の服を着た女性が
最後に声をかけてくれたときに、その人に対して自分が声を荒げた事が一番の自己嫌悪で、
悪い事をしてしまった、その人に謝っておいて欲しい、と。
そして私たちを気にかけてくれていてありがとう、と。
・・・実はそれは私だ。
名乗ったのは詫び状での事で、そこで声をかけたのが私だとは告げていない。
だけどまぎれもなくそれは私。

なんと!詫び状を書いてお礼と逆に謝罪の言葉があるとは思いもよらず。
鼻の奥がつんと痛い。
そのままちょっと用事が、とかごまかしながら席を外す。
涙が出るのがこらえられなかったから。

確かにその内容は私にとって重い重い手紙だった。
お客様はちゃんと見てるんだ、って。
私はてっきりお客様はプリプリ怒って御帰りになり
旅行の最後の最後で気分を害してしまったのが残念でならなかった。
だけど、その方がお怒りよりも自分の発した言葉に対して気にされていたとは思いもよらず。

きっとそのお客様はとっても優しい方なんだと思う。
私からもお手紙を書こうと思った。
今度は印字の詫び状でなく、手書きのお礼状を。