森へおかえり

風の谷のナウシカ、という古いジブリ映画がある。
私の好きな映画のひとつ。
未来の荒廃し、マスクを着けなければ5分で肺が壊死してしまう世界で
そして架空の生き物の馬鹿でかい蟲が支配している。
そんな中で生きる風の谷の王女、ナウシカ
映画のワンシーンで、腐海の森に不時着し、そして蟲に襲われながら谷に墜落した飛行船。
その瀕死の蟲を森に帰そうと、言ったナウシカの一言。
『森へ御帰り、大丈夫、まだ飛べるから』と。

長い前置きだが、そんな言葉を思い出した出来事。
ホテルのすぐ近くで熊が出た。
この地域の熊、発信機が付いた子が多いので、近くに出れば分かる。
それで敷地の中にある熊探索のスペシャリストからの連絡が入り、出動したという。
日本でここにしかいないというベアドック。
この犬たちが熊に向かって吠えたてることで山へと帰す。
出来るだけこの土地では殺さない。
住むべき場所へ帰す。
それが、山を降りる事を覚えさせてしまった私たち人間が最初にすべきこと。
そんな中で、きっと、犬たちは熊に『森へ御帰り、大丈夫山で暮らせるから』と
厳しく吠えるんだと思う。

普段は駐車場までてくてく15分ほど歩いて帰るのだけれど、
今日熊が出たのは駐車場のすぐ近く。
私が帰る頃にはもう山に帰ったと思うけど
ひょっこり出くわしたらたまらないので帰り際の別の人に車まで送ってもらうことにした。

熊、山へ帰れたかな。