頭をからっぽにしたいとき

忙しい日が続いた後の休みの日は緊張の糸が切れてしまうせいか、どうも体調がすぐれない。
頭が痛い。体が重い。
それは身体からの休め、というサインなのだろう。

休日が終わる間際。
夜も更けた頃になりもう寝ようかというところで突然どこかに出かけたくなった。
外は霧が立ち込めており小雨も降っていて決してドライブ日和ではない。
時間も遅いし近場をぐるりと回って帰ってこようか、と車に乗り込んだはいいが…。

走り出したらやっぱり止まらない。

霧で全く見通しの利かない碓氷峠の旧道を突き進む。
五里霧中、というのはきっとこういう状況なんだろうな、と思いつつ
予測も付かない方向に曲がるカーブを次々と超えてハンドルを右へ左へ。
車酔いしやすい人に、遠くの景色を見なさい、とアドバイスをするのを聞いたことがあるが、
霧で5メートル先も見えない状況。
すぐ目の前に見えるかすかなセンターラインを凝視して山道を下っていたら、
運転していたというのにすっかり車酔い。
峠を下りきった頃にはめまいまでしてきた。

が、霧の中を下ってきたということは、またそれを抜けなければ家には帰れないということ。
日は(とっくに)暮れて、道遠し…。
峠を半分ぐらい下ったところで、もう既に出かけてきた事を後悔しはじめていたのだけれど
今更どうにもならない。
またすぐに五里霧中の道を引き返す気にもなれず
とりあえずしばらくあてどもなく国道を走り、
かなり先まで走ったところでまた霧の中を走る覚悟を決めて引き返してきた。

それにしてもまるで糸の切れた風船みたいな私。
車の免許を取ってからかなり時間がたつけれど、
こんなあてどもないドライブに何度出かけたことだろう。
運転しているうちのむしろ大半がこんなあてのないドライブのような気もする。
でも頭を空っぽにしたいときはこれが一番。

本日の無意味走行 130キロ。