フロントカーニバル

ノロウイルス騒動があった冬からもうだいぶ経ち、
世の中ではもうすっかり忘れられているのだが
この騒動以来、働いているホテルでは何かと大変な処理があったりする。

スタッフがお腹を下したり嘔吐した場合、理由はどうあれ
とにかくノロウイルスの検査をして、結果が陰性と分かるまで出勤停止。
そしてもうひとつはお客様が嘔吐した場合、その処理にかなりの手間を要するということだ。
手間というのはコスチュームに着替え、ゴム手袋、マスクのいでたちで
そして片付けた後で消毒液で徹底消毒・・・というもの。

フロントでレストランと部屋間の送迎のピークを迎えようという頃、
子どもが吐いたという連絡。
処理班に2人出動。
・・・そして迎えた送迎ラッシュ。ああ悪夢。

更に、これには別の複線があった。

エアコンが効かないとお怒りのお客様。(・・・故障した)
その対応が遅いと更にお怒りで、食事に出かける間に修理するとお約束し支配人から謝罪していた。
そして修理に入ったスタッフから出された結論。
・・・今日は治らない!!! 
せっかくおさまったお怒り、どうしてくれようか。参った。
ホテル内で貸し出しできる扇風機を探す。
系列ホテルに連絡をして何かポータブルで風の出るものを探す。
やっと送風機を見つけてもらい、部屋に設置、
そして治らなかった事を支配人から重ねて謝罪してもらうために待機。
部屋に設置が終わる前にお客様の食事が終わってしまい、
なんとかレストランで間を繋いでもらい、慌てて設置依頼。
そんな事をしている間に別の部屋でエアコンが効かない連絡。(また別の部屋で故障)
別の部屋からは読書灯を壊してしまったので代替品が欲しいと・・・。

そして更に悪い事に・・・
チェックイン、送迎、何故か夜のうちに精算したいゲストまで現れる。
重なる重なる。
何のお祭り?!というぐらい。

全てが重なったのが多分1時間程のこと。
電話も重ねて鳴る。送迎依頼のゲストがフロント前に数組。
助けて。私ひとりしかいない。

待機していたはずの支配人までも借り出して必死にゲストをさばく。
さばきながら支配人はその足でエアコンのゲストにお詫びに奔走。
そしてお詫びが終わって支配人が戻った時、取り残された一組のゲスト。
支配人が送迎依頼を受けていたのを私に引き継ぐのを忘れた、と。

ゲストの顔を見た瞬間、謝罪とともに車の用意をしようとダッシュ
あんなに早く走る支配人、初めて見た。
そんなこんなのドタバタ劇。
1時間程で2人の処理班が戻る頃、同時に全てのお客様がそれぞれの場所に散り
全てが終わった次第。

大した指示も出せていないまま、オロオロ、右往左往して
迷走しっぱなしの私である。とほほ。
こんなお祭り、ちっとも楽しくない。