粗相なんてするもんか

バスでいらした団体さん。
うちの施設、部屋とフロントの棟が離れているせいもあって送迎依頼が多い。
その距離をお散歩がてら、と考えるか不便でたまらないと考えるか。
雨が降ったりして天候が変わればまたその感じ方も変わるのだが、
その団体のおばさま達は、皆さん気の合う仲間同士
話をしながらテクテク歩くのは苦だと思われない方達が多かった。

他のお客様で足の悪い方や高齢の方で完全送迎対応の方もいる。
そんな様子を見ていた旅行会社の添乗員さん、
送迎する=優遇していると考えたらしく、
自分のお客様も優遇して欲しいと思われたようで
自分の担当するおばさま達も、外出からお戻りの時に
フロントから全員部屋の前までの送迎を希望された。
全員と一口に言っても人数は約40名様。
車の台数もスタッフも限りがある。
他の送迎で不在にしていたせいでそのときに用意出来るスタッフはたった2人。
お待たせせずに送迎するのは物理的に難しいとご説明したが納得しない。
出来るだけ車と人を集めておくように、と高圧的な感じ。
・・・40人を2台でご案内するとなれば部屋とフロントを10往復。
こりゃピンチ。参ったな。
ま、人はいないしなるようにしかならないし仕方ないや。

そう思って半ば開き直ってお戻りのおばさま方をお迎えしたのだが、
車を勧める添乗員さんの声だけがむなしく響きわたり
おばさま達の大半は歩いてお戻りになった。
朝の出発の荷物ピックアップも同様。
全員の部屋に荷物をとりに行くよう添乗員さんから手配を受けて
それぞれの部屋に伺う旨連絡を取ったのだが、自分で歩くから大丈夫、という方が大半。
ゲストの意図と添乗員さんの意図が完全にずれてしまっている。

そもそも、何故か添乗員さんは若いスタッフが多いせいか
まともにサービスが出来ないと思っていたようで
私たちの事を信用して頂けていなかった。
最初にスタッフが添乗員にご挨拶した時も『くれぐれも粗相のないようにお願いします』なんて
非常に屈辱的な言葉を頂いたし
お戻りで傘の用意が少しでも遅いものならスタッフを怒鳴りつける始末。
粗相をするようなサービス、誰がするものか。

当のおばさま達は皆さんリフレッシュして楽しんで頂けたようで
皆また来るわ、とバスの窓からちぎれんばかりに手を振ってお帰りになった。
何はともあれ一件落着。