スタンドプレーでホテルは成り立つか?

久しぶりに仕事の話。
のらりくらりと過ごしているのは紛れもない事実だが、
一応頭の片隅では仕事の事は忘れていない。

他の仕事でも当てはまる業種もあるかと思うが、
ホテルの仕事は基本的に一人では成り立たない。
予約の電話を受け、そしてチェックインし、快適な時間を過ごして頂き、
チェックアウトされるまでの間、一組のお客様に対して、どれだけの人が関わるだろうか。

例えば、的確に案内をして予約をお取りする、快適に過ごせる部屋を準備する、
到着したお客様をスムーズに案内する、要望合わせて美味しい料理を作る、
そしてその料理や飲み物を適切なタイミングでお出ししてお客様に楽しい時間を提供する、
間違いのない精算を迅速に行い、ご出発を見送る
その他リラックスしてもらえるようにアロマトリートメントの施術をする、などなど
お客様と関わる部分だけでも様々なシーンがあるし、
その他安心してご滞在頂けるように施設や設備を適切に保つ、とか
直接関わらない部分を挙げればさらに細分化される。

どれだけ小さな規模のところでも24時間一人でやりくりする訳にはいかない。
それが部屋数が多ければ多いほど仕事は分担、細分化され、
マニュアルに沿った的確で均一なサービスを求められる。
そんな中で、最近ふと思うのだが・・・ホテルの仕事って本当に『チームプレー』だろうか、と。
スタッフ側の視点で考えた時、細分化された仕事内容だからこそ、
スタッフ間の繋がりは必須だし、個々が勝手に判断して勝手に動いたら統一性を欠くかもしれない。
いや、間違いなく混乱する。
だけど、均一化された動きは想定外の出来事に対してはどうしても柔軟性に欠ける。

最近どっぷりはまっていたDVDの中でこんな台詞があった。
『われわれの間にはチームプレーなどという都合のいい言い訳は存在しない。
あるとすれば、スタンドプレーから生じるチームワークだけだ』と。
全くホテルに関係した話ではないのだけれど、
個と集団の関係について語っていた妙に印象に残っている一節。

役割は役割としてあるにせよ、それぞれがそれぞれの考えで動き、
その結果として横の繋がりが生まれる。
個を生かした接客で、そのホテルのサービスの一貫性を保つ事って可能なんだろうか。
一般的には、ホテルとしての一定のサービスレベルを守るためにマニュアルがある。
例えば、一人だけ良かれと思って、
『それでゎぁ~☆お部屋にぃ~ご案内致しまぁす♪』 では、当然いけない訳だ。
だけど頭で考えない接客なんて、そもそもそれがわざわざ人である必要なんてない、
それは接客じゃない、と思う私。
それぞれのスタイルや個性があっても、
そこに統一性があれば独自の考えで動き、スタンドプレーでも良いのでは?

きっとそれが可能なのは、規模が小さな場所で(大きくなればなるほど統制が難しくなる)
そしてそのホテルの目指す方向性、コンセプトが明確で、(きっとこれが一番重要)
更にスタッフ全員はそれらを熟知していて、なおかつ同じ目線であること。
この条件が満たせれば、スタンドプレーでも成り立つかもしれない。

そんなホテルがあったらいいな。
これだけああでもない、こうでもない、と言いながらそんなオチである。
まだもう少し先の再始動を控え、ほんの少しずつ仕事のことを考えている。
(とはいえ相変わらずのらりくらり、だが)