楽しかったよ、ありがとう

今日はイベントがあった。
文化人やお金持ちのVIPも招待されているものだ。
本来私は裏方で顧客管理だとか予約だとか、そんな仕事を請け負っているので
関係がないはずだったのだが
出勤早々呼び出されなぜか私が駅まで迎えに行ってエスコートする役と、
イベントを担当するよう唐突に言いつけられて、事務所から支配人に拉致された。

大好きな接客が出来る日。
そんな拉致なら大歓迎だ。

送迎バスとVIP用の乗用車と2台体制。
私は駅の改札でホテルのプレートを持って待つ。
一般のゲストは送迎バスに案内しVIPは乗用車へ。
VIPは乗用車で待たせ、他のゲストを乗車させるために改札とバスを階段を下りて行ったり来たり。
バスの乗車確認をして改札に戻る途中―。
階段を踏み外して派手に転ぶ。バスのゲストの目がテン…。
私的にはなかったことにしたかったので
何事もなかったかのように階段を1段抜かしで駆け上がった。

私はVIPを乗せた車の助手席で観光案内やらホテルの説明やら。
気が付いたら大好きな温泉の話や山の話で大盛り上がり。
ホテルに到着しうちの社長と合流して、私と別れる時。
そのVIPは社長と歩き出した足を止め、
振り返りざまに「楽しかった、ありがとう」
私にとっての最高の褒め言葉。

その後もイベントでの受付も、本の販売も、会費を集めるのも
ゲストの流れをつくるのもアテンドも…全部全部何故か私ひとりがやる羽目になり
髪を振り乱し走り回る事になったのだがそんな事は構わない。

結局誰も段取りもない、手伝ってくれる人もいない、
いつもの滅茶苦茶な流れに巻き込まれた1日だったのだが
それでもそれは私にとってのチャンスであり
そのチャンスは私に与えられた最高のプレゼント。
ひどい暑さの中屋外を走り回ったせいで鼻の頭だけ焼け、
多分ちょっと熱中症気味で今になって頭がガンガンするけど
それらに勝る、最高の気分。