たまには苦い気分の夜もある

気がつけば7月も半分が過ぎた。

いつも休憩する裏口から出た外の木には、毎日1つか2つずつ、
暗い土の中から広い広い空へと旅立っていったセミの抜け殻が増えている。
見た目がエイリアンみたいだと嫌われがちなセミだけど、
彼らは6年も7年も土の中で過ごしてやっと日の目を見てそして短い一生を終えていく子たちだ。
このサイズだとヒグラシかなあ、なんて思いながら、
毎日旅立ち、そして増えていく抜け殻を飽きもせず数えている私。

今日は1日濃い霧がかかっていて、なんだか気分までめいりそうな天気。
こうもお天気が悪かったら、セミも鳴けなかろうに。

大好きな映画、インファナルアフェアサウンドトラックが今日のBGM。
確かに大好きな曲なんだけど、とってもとっても悲しい曲だ。
そんな中で仕事が一段落した後、バーカウンターに座って上司の昔の恋の話を聞いた。
そうだよね、うんうん、当時そんな事があったのねーなんて相槌をうち、
その場であれこれ笑いながら聞いていたのだが
みんなが帰った後で、照明を落としたカウンターでぽつんとひとり
「で?それで自分はどうなのさ?」と内心、自問自答。
恋愛には全くといっていいほど、いい思い出がない上に、
さらには完全に縁にも運にも見放された私。
ん?縁や運というレベルの話ではなく、もしかして私が悪いのか?
そんなとりとめのない答えの出ない事をあれやこれやと考えて完全に意気消沈。

なにやらどうにもこうにもやりきれない気分になり
料理長さんの自家製秘伝の喉が焼けそうなほどアルコール度の強いお酒を
小さなグラスになみなみと注いであおって帰ってきた。

ま、たまにはこんな、どうしようもなくにがーーーい気分の日もあるさ。

・・・おっとっと。
こんな気分には蓋をして。
スパッと切り替えて明日も朝早いし頑張らなきゃ。