ぬっこ 自分を釣る

今日は午後実家に帰省する予定。
仕事ももう少し時間が経って事が大きく動き出さないと
私の出番が回ってこないという状況で
(実は現在うちのホテル、かなりの激震が走っている・・・)
それらが来るなら来るで、それならそうと、自分にその激震が及ぶ前に
ひとときゆったりした時間を過ごしてやろうと。

昨日は早朝出勤だったので昼過ぎには業務終了。
で、(久しぶりにでもないが、)昼間から沼津で優雅に釣りである。

今日もイカ狙い。
帰省するので酔いどれ父の酒のおつまみにアオリイカをおみやげにしたかったから。
夜中まで頑張ったのに・・・私の竿にイカはかからなかった。
釣りたいと欲を出すと釣りの神様は微笑んでくれないものだ。

でも代わりに自分が釣れた。
エギ(イカ用の針がついたルアーみたいなもの)が顔面ヒット、
さらに今回は更に悪いことにヒットしたエギについた鋭い針が唇に刺さった。
いででででで!完全に自分を釣ってしまった私。
返しが付いた針じゃなくって本当に良かった。
周りにいた人(見ず知らずの人だけど)、びっくりしながらも大笑い。まるでコントだ。
でも刺し傷は刺し傷だし、痛いものは痛い。
どんなに釣った魚を食べたくたって、エギは食べられないのにね。

女性1人で釣りをしているというのが珍しいからだろうか。
気がつけば、地元のオジサンとすっかり仲良しになり、
あまりに投げ方が下手で手際が悪いものだから、
オジサンに投げ方を教えてもらい、
糸が絡まれば外してもらい、更には糸の結び方を教わり、
竿を交換してみたり
おなかは減っていないかとオジサンが持ってきていたオヤツまで分けてもらった。
更には自分の持っていたエギを海底にひっかけたり壊したりして
私がなくしてしまったのを見るに見かねてエギを3つも分けてくれたではないか。
なんていい人たちなんだ。
更には、私とオジサンでどちらが先にイカを釣り上げるかを競争。
(結局釣れず競争はドロー)
でも別の竿でオモリと餌を付けて足元にいたイシモチやマダイ、カワハギを釣り上げて
その分を全部私にくれた。(私マダイとゴンズイしか釣ってないのに・・・)
別の港のお気に入りポイントの地図まで書いてくれて
まるで子どもみたいに遊んで帰ってきた私。
違うおじさんにはやっぱり釣れるポイントの情報交換。
ヘタクソなお前にはそんないい竿はもったいない、
講師料として交換しろ!なんて横暴な事をいう豪快なオジサンには
見たこともないような鮮やかな青紫色にのおっきなカニをもらった。
(タイワンガザミというワタリガニで、ものすごい色、エイリアンみたい。)

なんとなくこんな風に人とのつながりって楽しい。
あるオジサンはお嬢さんが私の5つ下でそのお嬢さんが最近彼氏と別れたんだとか。
最近の若い人の結婚観はどうなってるんだい?なんて
そんなご家族の恋愛相談を聞いてみたり、
彼らの仕事のことや、最近の釣りの成果、いい釣り場所のこと、
気がついたらあれこれ話しながら延々暗くなるまで釣りをしていた。
こうなると年齢も性別も関係ないような気がする。
なんか不思議な感じだ。

こういう雰囲気って何かに似ていると思ってずっと考えていたのだが、
地域の公園で子どもがいつの間にか知らない子と友達になって
一緒になって遊んでいるみたいな状況によく似ている。
今ではそんな光景も減ってしまったんだろうけど。

多分彼らはまた同じところにいるだろう。
でも私は彼らの名前も知らないし彼らも私の名前も知らない。
でもまたそこで会ったら多分子どもみたいに、当たり前に挨拶して、
当たり前にまた海に糸を垂らして話して笑って過ごすんだと思う。

こんな出逢いもまた悪くない。
仕事での出逢いとはまた違うけど、
人と話す事やかかわりを持つことってやっぱり楽しいと思う。
気がつけば名も知らない自分の親の年齢とさほど変わらない、
オジサンの友達がたくさんできた。

そういえば、私、こんな風に以前は人とかかわりを持つ事を避けて来たように思う。
だから今までは人がいない場所、いない場所へと足を向けていた。
今も行く場所は対して変わらないけど、純粋にいろんな人とのかかわりを楽しんでる。
そこから学ばせてもらうこと、素敵な出来事がたくさんあるって分かったから。

沼津や真鶴の防波堤で、ひとりで自分を釣って騒いでいるちびっこがいたら、
多分それは間違いなく私だ。


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