薄氷の上を歩く日々だけど

ちょっとここのところバタバタ。怒涛の最中である。
でも、気に入っていただけて
1ヶ月もしないうちにリピートしてくれた方がいたりして、嬉しい限り。
隠れ宿です、と言っていただけるのは最大のほめ言葉。

レストランやフロントなど、目まぐるしくポジションをこなす中で、
やりがいを感じられる瞬間。
それは、ああ、自分はお客様とちゃんと話が出来てる、と充実感を感じられること。
こちらからアナウンスするだけじゃなくて、会話のキャッチボールが出来てると思えること。

今までレストランでの接客は私は自分のホテルマン歴の中で一番未熟だと感じる部分。
調理人さんたちとの連携、お客様との間の取り方。接し方。各テーブルの料理の進行。
見るところは格段に多い上に明らかにフロントでのお客様の話し方とは違う。

フロントで接客するのは最初と最後。
最初はある程度お客様も、来たこともない場所に足を踏み入れてどんなところだろう?という
好奇心や期待と数あるホテルから選んだ、自分の選択は間違っていなかっただろうか疑念。
それらが交雑している状況。
それゆえお客様自身が心を開いてあれこれ話してくださることはあまりない。
移動でお疲れというのもある。
だから、通り一遍の案内、いらっしゃるまでの経緯などを世間話を織り交ぜて手短に話しつつ
この方がどんな方で何を重視される方なのか、ホテル側としても
お客様の距離の取り方を最も気をつかう部分だったりもする。
最初と最後はきっちりと。
そう思うから、最初はあまり自分のキャラクターを出して話す事はない。

そしてレストランでの接客。
お酒は飲むのか飲まないのか?食事のペースは?
一緒にいらっしゃる方の間柄など。
最初にホテルの印象を伺える場でもあるし、お客様との間に切り込める機会でもある。
スタッフとの会話を楽しむタイプなのか。
それとも同行の方との時間を大事にしたいタイプなのか。
間合いを見ながら、料理やお酒、水、諸々の提供でテーブルにお伺いして、
話しに夢中の方には、邪魔にならないように黒子に徹し
あれこれお話しされたい方には、こちらから積極的に。
結局お客様のお仕事の話だったり、趣味の話だったり、はたまた土地柄の事、温泉の事・・・
気がついたら会話は料理の内容から大脱線して盛り上がっていたりもする。
失礼のないように、とフロントではほとんど敬語のみだった私も
レストランで接客するようになってから、だいぶ口調も柔らかくなった。
あ、この男性、相手の女性を口説きたいんだなぁと思ったら、
お酒を切らさないようにすっと現れてこそっと注文を取る。

このお客様、お話されたいんだなぁと思ったら
料理と料理の間を少し取ってお話しする時間を設けたりもする。
料理を美味しく召し上がって頂くためには
ただただ料理内容を説明するのではなくてどんな風に召し上がっていただきたいか、
作り方の行程、そんな事までお話しすることもある。
期待を膨らませて、そして口に料理を運んでもらいたいから。

料理というのは、味も見た目も、香りももちろん大事だし、タイミングも大事。
熱いものは熱いうち、冷たいものは冷たいうち。
これは大切だけど、料理を出す上で当然のこと。

そのこれから召し上がって頂く目の前の料理に対して
想像を膨らませていただくための言葉というのは、
ひとつの調味料にもなりうるんだなぁとつくづく思う。
調理法や食感、香り、そんな事も含めて言葉にして伝える。
テレビのレポートを見ていて、美味しそうだと思うのはなぜか?
それってレポーターの方の言葉だと思う。
私は、料理を出し、皿をさげるだけのコマじゃない。
そしてただただおなかいっぱいにしてもらいたいから、そこで召し上がって頂くんじゃない。
せっかく遠くまでいらっしゃって、そこで料理を召し上がって頂くんだから、
その時間そのものも楽しんでもらいたいのだ。

その他、レストランで接客していて役に立っているのは、
フロント時代に培った観光案内や道案内。
今度出張で那須に行く、とおっしゃっていたお客様に
抜け道やら美味しいお店、そして日光までの案内。
まるでバスガイドさんですね、と笑われたけど、今までの自分があるから出来た事。
そして、居酒屋に通う事で、さまざまな人と出逢い、
話すことで年齢層に関わらず、見知らぬ人と臆せず会話出来るようになった事。
途切れず会話できるように、話題をあれこれ振る練習。
若いカップル、お歳を召した方。同じお客様でも声のトーンや言葉遣い、話題も違う。
それぞれに対して、心地よく思える距離を探り見つけるのが楽しみでもあり、
こうして接客する上での肝なんじゃないかと思ったりする。
無駄に大酒飲みな訳じゃない。(←あ、でもこの理由は結果論なので後付けかなぁ・・・)

決して自己満足には陥りたくない。
さぁ楽しんで!楽しいでしょ!楽しみなさい!
そんな接客にならないように。
ただ自分が喋りたいだけなら、居酒屋で話したらいいのだから。
時には余計なことは話さずに、そっと引くのも一つの手なのだと。
静かに楽しみたい方だっていらっしゃるのだから。

手放しで喜べない現状、相変わらずの人の問題。
そして頑張りすぎてしまう私。
日々新しい毎日がやってくるし、日々新しいお客様が来るけれども
変わらない現状、というのもまたあるのが現実だったりする。

本当は、まるで薄い氷の上を歩いているようなものなのかもしれない。
自分の抱えている体調の問題、根本的に解決していない諸々の問題。
それらを思うと、この充実感ってつかの間なのかなぁとも思う。
氷にヒビが入ってぼちゃんっとまた水底に落ちるのかもしれない。
そう思いながらも、やはり薄氷の上を歩き続ける自分。

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いつも行く居酒屋の看板娘。ミミ。
全く愛想はなくマイペースだけれど、それでも憎めない。
お客様と自分のご主人様に対して、
そして彼らとミミ自身の距離の取り方が絶妙。
ミミは御歳17歳。ある意味で接客の大先輩である。

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現在3位をキープ中。転落間近か?←あ。転落してしまいました笑 万年4位でいいもん^^

ちなみに・・・。
三毛猫って、この柄が出るDNAの関係上、みんなメスって知ってました?笑