にごり湯をにごらせる?

うちの温泉は硫黄泉、白いにごり湯である。

この白い濁りの正体は、成分が空気と触れ合うことで出来る湯の花。
時によっては濁りが少ないこともある。
源泉量やその日の状態よっては湯の花成分と湯が分離して半透明になることもある。

源泉は、パイプで3.5キロ、引っ張ってきている。
敷地までひいた温泉を、2階と1階に振り分ける形式。
その振り分けはバルブで調節している。

・・・だけど。
一旦下まで引いたものを2階に汲み上げて浴槽に供給されているので、
どうしても沈殿しやすい湯の花は2階までなかなか上がらない。
もともと源泉は64度と温度が高いので加水調整。
水を入れて調整する具合をうまいことやるためにあれこれ試行錯誤し、毎時温度計測を行い。
結局半自動化することで温度調節はクリアされた。
でも温度だけじゃなく濁りもいい状態にするには、
供給された温泉を1階と2階とにそれぞれ分配する量も調節しなければいけない。
これが今の悩みの種。

やっぱり入って手足が見えなくなるぐらいに濁っていた方が心情的に気持ちよく感じるものだ。
温度計測問題がクリアになったら今度は源泉配分量。これもまた、毎時調整。

外の源泉バルブを調整しながら・・・ふと思った。
その心情的に気持ちよく感じる、のを追求した結果
かつての入浴剤事件が起きたんだろうなぁと。
源泉量が適正かどうかを温泉供給会社に測ってもらったときに、
にごりをうまく調節するためにはどうしたらいいかを相談したら・・・。
うちで販売している湯の花を入れたらもっと白くなりますよ、ですって。

それじゃダメじゃんっと思わず突っ込みたくなる回答。

確かに仮にそれを投入したら、真っ白くなるだろう。
そしてその湯の花は源泉から抽出したものである。
だから投入しても、そもそもの出所は一緒である。
でも・・・それって違うんじゃないかなぁ。
源泉の湯の花入り温泉、と言われても嬉しくもなんともない。
何となく味や見た目をよくするために入れる食品添加物みたいだ。

温泉宿なのだから、当然私たちにとって温泉だって商品である。
露天風呂があるとかないとか、客室が温泉だとかそうでないとか。
そういったハード面の問題は別として・・・今あるものを最良の状態で提供するのが私たち。
自然のものなのだから、それ自体が持つ最大限の魅力を引き出して上げること。
そして、必要以上に人の手を加えないこと。
当たり前のことだけど、意外と目先のことに夢中になるうちに
間違いに気付けなくなる、安直な道を選びたくなる。

温泉以外でもそうだ。
基本的なことを忘れちゃいけないなって思う。

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