蔑視発言に怒る

私は学生時代に大病を患い、長い事入院していて病院から学校に通っていた事がある。
そういう一般的でない環境に身をおいた事があるせいか、
障害がある方々への偏見の目はあまりない方だと思う。

病気で口から食事を摂れず管を通した人もいれば、歩けず車椅子の人、
病気で髪の毛がない子もいたし、
心臓が悪く血がうまく巡らない関係で、紫色の顔の子もいた。
だけど、それはそれだ。
彼らには罪はないしそれらは彼らにとって付き合っていかねばならない個体差の一つだ。

この仕事をしていると、いろいろな人と出会う。
今は直接顔を合わせる訳ではないにしろ、場合によっては手配絡みでいろいろ伺う事もある。

仕事をしていて私は、その場で一緒に働く相手にぶつぶつ文句をいう事はあれど、
相手に対して怒りを覚える事はあんまり、いや殆どない。

だが…今日は許せなかった。
心底腹が立った。

障害がある方といらっしゃるお客様の手配をあれこれしていた私に投げられた一言。

それ、その場にいる他のゲストに迷惑にならないか?と。
横から投げかけられたその言葉にキョトンとした私。
何故迷惑?と問うたら、
だって気持ち悪いから…。

言っている意味が分からなかった。
確かに私が働く宿は単価が高い宿だが、
別に健常者しか泊めないなんてルールはない(そんなものあっちゃいけない)
第一そのゲストが誰かに対して、どんな気持ち悪い事をするというのだ。

私自身感覚がないからその発言は心底腹が立ち全く理解出来なかったのだが
世の中には、そういう視点で相手を見る人もいるんだな、と。

ノーマライゼーション
大学時代に習ったそんな言葉を思い出した。
バリアフリー化が進み、社会に障害がある方々が出やすい環境は、以前より格段に増えている。

でも、その中で異質なものを見るような冷たい視線を投げかける人は、
世の中まだまだ多くいるんだな、と。
私が感じた怒りは、実際のご家族方は日々の現実として、数多く経験されているんだろうな、と。

その方の手配に関わったのが私でよかったな、と心底思った。

もちろん彼らに必要以上の過剰な配慮をする事もない。
だって、普通のお客様だもの。

だけど、皆が皆、私みたいに見慣れていたり、抵抗がない訳じゃない。
いらっしゃるお客様にもそういう考えの方もいらっしゃるかもしれない。

それは一つの知識として覚えておく必要はあるな、と。
いい勉強になった。

そんな世の中は、いつか変わるのだろうか。
ふと思った。