静寂と喧騒と

震災の影響で、プールに通うのを少々休んでいたのだが、また日課を再開。
いつも夜通っていたのだが、何となく昼間の時間帯で通うようにしている。
最近はのしのし歩きからカエル泳ぎに移行しつつある。
雪が解ければ、山歩きのシーズンがやってくる。
それに耐えうるだけの身体づくりをしたいのが目標だったりするからだ。
 
日中泳ぎに来る人はそう多くない。
水中体操教室に来るおばさまは多数いらっしゃるのだが、実際わしわし泳ぐ人はほぼ皆無。
だから、レーン独り占めで
 
鏡みたいな水面にとぷんと潜ると、音のない世界。
静かなプールでカエル泳ぎ。
もっとも実際はすいっすいっと優雅でもなくて一掻きごとにざばばっと
顔を水から出して息継ぎに必死だったりするのだけれど。
同じように、息継ぎを必要とするイルカやペンギンは、
水面に上がっては降り、降りては上がりを繰り返しながら進んでいくけれど、
いずれにしろ、それには程遠いだろうな。
何となくこの音の伝わりや、音の輪郭がぼやけた水の中の世界が好きで
泳ぎに行っているのかもしれない。
 
今日は日中買い物に出ていたので、プールに赴いたのは夕方早目の時間帯。
子供プール教室の時間とちょうどバッティング!
人が多い事は多少予想していたものの・・・一般で泳ぎに来ているのは私一人。
あとの60人程(!!)はみんな未就学児の小さな子どもたち。
プールの外のガラス窓には、自分の子を見守るために張り付いた親御さん多数。
…時間帯の選択大失敗!
さらには、地震対策の避難訓練まで始まった。(当然私は参加しない)
60人の喧騒が笛の音とともに全員頭にビート板を乗せて一気に避難。
 
プールには私だけがぽつりと取り残される。
ほんのひとときだけ、耳に入る無数の甲高い声や号令、笛の音、全てから解放されて静寂が訪れる。
その静寂の中、気分だけすいすいすいっと。
残念ながらその静寂はほんの数分後、ものすごい喧騒に変わったのだが。
 
それにしても、数十人の大人に見守られて泳ぐ気分というのは、なんとも不思議なものである。
出来れば、二度と経験したくない。