蝶が舞い、秘密の宴が繰り広げられる場所
先週訪れた際にはまだ田植えされていなかった、栃木県茂木町の、石畑棚田。
そろそろ田植えが終わった頃かなぁと思って再訪。
ぎゃっ。この間と様相変わらず。
しまった。まだ早かったか。
お天気もいいことだし、せっかく来たのだから、と棚田の周りをぐるりと散歩。
平日というのもあってか作業する人も誰もいない。
辺りは低い山の雑木林。田んぼのあぜ道伝いに歩くと、蝶が舞うのどかな景色。
たんぽぽもキレイだけど、そのたんぽぽの花をすっかり覆い隠して羽根を休めるアゲハチョウ。
誰もいない所で、こんなキレイなアゲハの羽根を独り占めして眺める私。
なんだかすごく得した気分だ。
里山育ちと私としては、こんなのどかな景色はどこかほっとする。
川辺にトンボを見つけた。
トンボというと、夏のイメージだ。
だけど、実際には冬を幼虫のまま過ごして春になると、羽化するトンボも多くいて
この時期になると田んぼの近くにはトンボの姿をちらほら見かけるようになる。
ところが、このトンボ。実は春生まれじゃないのだ。
秋口に生まれ、寒い冬を、辺りと同じ「枯れ枝色」の身体で乗り越えて、
春になると芽吹きとともに身体の色が「枯れ枝色」から
この目にも鮮やかでキレイな「トルコ石色」に変わる、という不思議な子だ。
名前は、ホソミオツネントンボ…。舌をかみそうな名前で分かりにくい。
「細身越年トンボ」、と書くと少しはピンと来るだろうか。
細身の体で年を越すトンボ、という事らしい。
そんなきれいなトルコ色の身体、わぁ、なんて見とれていたら…。
いるわ、いるわ。
こんなに同じ草にまとまって止まらなくても。
まるでトンボマンションである。
この子たちにとっては、今がちょうど繁殖の時期。
「長く寒い冬をようやっと乗り越えた苦労を知る者たちだけが参加できる宴」が
田んぼの片隅で繰り広げられる。
ペアになる相手を探しているのだから、人でいうところのお見合いパーティーだろうか。
あらま、そんな秘密の宴をこっそりのぞき見して失礼しました。
ところで、そんな田んぼを這いつくばって一人にんまり写真を撮っているぬっこ自身の、
ささやかな宴は・・・。
本日も蕎麦屋にて。アツアツの揚げそばがきを、はふはふしながらいただきます。
揚げそばがきは、文字通りそばがきを、油でからりと揚げたものだ。
外はかりかり、中はふわっふわ、ソバの香りが口の中にふわりと広がる。
醤油を付けていただくのだが、なんともいえない味わい。
はぁ至福のひととき。
三度目の正直・・・今度はいつにしようかな。