じろりと睨むカマキリに思う

蟷螂(カマキリ)が庭でバッタを狙っていた。
前足が鎌状に変化したことからこの名がついた、「カマキリ」
身体を左右に揺らしながら、じり、じりと距離を縮めてゆく。
そんなところに私が近づいたものだから、
バッタはそれに気づいてぴよーんとどこかへ勢いよく飛んでゆく。
 
あらま、お食事の邪魔しちゃいましたね。
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そんな事をひとりごちながらカメラを構えたら、じろりと物凄い形相でにらまれた。
 
昆虫にもちろん表情はおろか感情なんてない。
逆三角形の顔に大きな複眼。
この顔、ちゃんと首があって左右に動くのだ。
動くものは何でも捕食しようとする。
指を出してちらちら前に振りかざしたら、ボクサーみたいにシュッとカマキリパンチを浴びる。
いててっ
 
「蟷螂の斧」(とうろうのおの)という言葉がある。
この言葉の意味は身の程知らずの弱者が自分の分や力をわきまえないで、
ただ気ばかり壮にして大敵に当ったり、盲進したりする事。
カマキリが頭上に鎌を振りかざして、小さな虫を獲る事が出来ても
もっと大きな力にはその鎌も全く無力だという事から出来た言葉だ。
でも…意外と無力ではない。実際にはカマキリパンチは意外と痛い。
 
この姿、たとえ身の程知らずでも「盲進」じゃなくて、こつこつ「まい進」しようとしているとは取れないだろうか。
退こうともせず大きな敵であっても果敢に挑み続けるこの姿を
無力だとは決して私は思わない。
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このカマキリ、日本では俗に「拝み虫」と言われるそうだ。
虫を狙うのに鎌を身体の前できちんと揃えて静止するその姿が、
人が両手を合わせて拝んでいる姿になぞらえているのだとか。
でも、この思わぬ鎌パンチが飛んでくる具合をみると、
減量し尽くして目つきが鋭くなったボクサーのようにも見えるのだが。
 
農業の世界では害虫を捕食してくれる、ありがたい虫としても見られているとか。
たとえ身の程知らずでも、前進し続けるこの姿に敬服せずにはいられない。