十五夜と「ぼうじぼ」

今年の「中秋の名月」は12日。来週の月曜日だ。
秋は収穫の時期でもあるためその時期の収穫物を供えるのが習わしである。
芋名月」などの別名はここから生まれたものとのこと。
お月見といえば、お団子だけれど、このお団子は芋の代わりである。
(ちなみに来月の十三夜は栗名月、豆名月なんて呼ばれる。)
 
仲秋?中秋?と思って調べてみたら旧暦の八月十五日を指す為、
秋の真ん中、ということで中秋が正しいようだ。
 
ところで栃木県に古くから伝わる十五夜のイベントがある。
いうなれば和製ハロウィンといったところだろうか。
「ぼうじぼ」で地面を叩いて、「ぼうじぼ、ぼうじぼ、三角畑にそば当たれ」
唄いながら近隣を練り歩く行事である。
この、「三角畑にそば当たれ」の意味だが、「当たれ」は豊作でありますように
「三角地のような狭い土地でも蕎麦が豊作でありますように」という
五穀豊穣を願う呪文のようなもので「trick or treat」と同じ掛け声という感じである。
 
この「ぼうじぼ」と呼ばれるものはワラで出来た細長い持ち手付きの鉄砲の事。
(鉄砲といっても単に直径5センチ~7センチほどの円柱型に束ねてよりあげて持ち手を付けたものである)
軒先で、この歌を歌いながらぼうじぼを打ち付けることでお菓子や小遣いをもらう。
この地面を叩く行為で害虫を追い払う意味合いがあるそうだ。
終わったら、その「ぼうじぼ」を柿の木につり下げておくのが通例なんだとか。
 
うちの方では既に廃れてしまった行事だけれど
未だ栃木県内で行われている場所もあると聞く。
こういう行事って絶やしてはいけないと思うのだけれど
「ぼうじぼ」を作れる人がいなくなったとか、子供会の行事が面倒だとか
そんな理由でだんだん縮小されていっている気がする。
大人になってから感慨深く思い起こせるこういう行事って、
受け継いでいかなくてはいけないと思うのだが。
 
毎年晴天率が極端に低いと言われる十五夜
さて今年は晴れるだろうか。
そういえば、忙しかった頃にこんな風に感慨深く月を見上げた事ってあったのかなぁ。