一握の砂

なぜだか、車を走らせていたらふと石川啄木の、「一握の砂」を思い出した。
石川啄木といえば、私が働いていたころのよくふざけて言っていた
「はたらけどはたらけど…」のくだりの歌を書いたあの啄木さんだ。
 
「いのちなき 砂のかなしさよ さらさらと握れば指のあいだより落つ」
”いのちのない 砂の悲しいことよ。手に握ると指の間からさらさらと落ちてしまう”
 
この歌って、幸せをつかもうとするとっとすり抜けていくような感覚や
砂が指の隙間からさらさらと落ちるが如くさらさらと流れる時間と人生への虚無感、
はたまた短命だった啄木の生への強い思いを歌ったものだと思うのだけれど。
 
確かに砂時計の砂が落ちるように時間はどんどん過ぎていく。
その時間は無尽蔵にあると錯覚してしまいがちだけれど、そんなことはない。
私は、その時間を大切に使えているんだろうか。
今感じられる幸せを大事に出来てるんだろうか。
土砂降りで、忙しく動くワイパーを見ながら、そんなことをふと思った。
 
それにしてもこんな雨降りの日にこんなさびしい歌をふっと思い出したのはなぜかなぁ。
それにしても今日は寒い。秋はどこへいったんだろう。