嗅覚と記憶と ~栃木県益子町 ヒジノワ~

さてさて気を取り直して(何を仕切り直しているのかは謎)
元気にランチの話題でも。
この日は「ヒジノワ」さんにお邪魔してきた。
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このヒジノワさんは、珍しい居抜き営業のカフェである。
数店舗の出店者さんが日替わりで入るので、
日曜日はサンドイッチ、月曜日は和食膳、そうかと思えば別の日は豆カレー。
こんな感じで入れ替わり立ち替わりお店が違うお陰で、同じカフェでも違った趣きを楽しめる。
別の日にお邪魔してもまた別のお店を楽しめるって何となくお得感満載な気がする。
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この日は、「手毬」さんの営業日。
小さな店内は、昼下がりのひとときを愉しむおばさま方でいっぱい。
あの…一人でもいいですか…とちょっとその勢いに押されておずおずと入店。
…ところで、この黒板メニュー、「シフォン」じゃなくて「シホン」ケーキの響きがほのぼのする。
 
手毬さんでは、彩りよい素朴なおかずたちが松花堂弁当形式で供される。
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この小松菜と菊の和え物といんげん胡麻和えがなんとも優しいお味で美味しかった。
 
そして栗ご飯!
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黒米入りのご飯は淡いピンク色で、食感も楽しく、ほっくりした栗の甘みが幸せ。
自然と顔は満面の笑み。
って傍から見れば、ニヤニヤしながらご飯を食べている、怪しいちびっこである。
 
あーーもうっ。そうよ。もう季節は秋。
お彼岸も過ぎ、気づけば、周辺の田んぼも稲刈りがあらかた終了。
新米の便りも届き、ほのかにどこからかキンモクセイの甘い香りが漂い、
ススキの穂が陽光に照らされてキラキラする私の大好きな季節だ。
 
そういえば、秋といえば嗅覚が研ぎ澄まされる季節。
どこかのお宅から漏れ出るさんまを焼く匂い。焼き芋の甘い香り。
それに稲刈りが終わった稲わらから漂う日なたの香りに
どこかからそこはかとなく香る華やかなキンモクセイの香り。
日暮れの早い秋だからだろうか。
私の場合他の季節と比べると秋は視覚よりも嗅覚の記憶の方が強い。
 
プルースト効果と呼ぶそうだけれど、
視覚や聴覚と比べると嗅覚は記憶を呼び起こす作用が特に強いのだという。
視覚は赤、緑、青、グレーの四色、味覚だって基本は5種類。
その認識から比べて、嗅覚のチャンネルは1,000近くもある。
もともと嗅覚は、視覚や味覚と比べて更に原始的な感覚で
脳内の処理もそれとは別の個所で行われている。
匂いを処理する箇所と感情を司る場所は実は同じところ。
だから、匂いから記憶を呼び起こすのだそう。
 
そんなことを考えながら秋の味覚、秋の香りをお腹いっぱいに充填。
(結局昼下がりに小難しい事を考えていても、食欲には勝てぬ私。)


ヒジノワ
栃木県芳賀郡益子町益子1665