前へ前へ

人の目というのは、虹彩を縮めたり広げたりを自動調節して
明るい場所から暗い場所に入った時にある程度視覚を確保するのだろう。
ところが、電気を消した瞬間、私は即座に対応できない。
ゆっくり目が慣れるまでは人より時間が必要なように思う。
それなのに、私はその身体の順応よりも動きだしの時間が速い。
まどろっこしい話をまとめるとつまりどういうことかって。
 
真っ暗闇でやみくもに動いているということだ。手さぐりで。
 
なぜこんな話をするかというと、話は数日前にさかのぼる。
暗闇に響き渡る「ドゴンッ」という鈍い音。
直後に「あうぅぅぅ」と呻き声。
音の理由はリビングの電気を消して動きだし、
何故だか閉まったままドアを開いていると思い込んで顔ごとまともに突っ込んだから。
そして…低い呻き声はもちろん私。
 
たまらずその場に顔を抱えてうずくまる。
鼻の奥がつーんとする。頭がグラグラ、暗闇なのに星が見えそうなほど目はちかちか。
はっ、気づいたら鼻血まで出ているではないか。
夜更けに血まみれ。あぁ。ティッシュティッシュ
 
何やってますの?と言われそうなのでここには書かずに置いたのだが。
断っておくと特にアルコールを飲んでいた訳でもない。
ただリビングを歩いて廊下に出ようとした時に扉に無防備に激突しただけだ。
 
それにしても家で鼻血を出すのは、やんちゃな子供か思春期の多感な男子ぐらいと
相場は決まっているものだが、まさかこの歳で鼻血騒ぎとは。
しかも自爆ときた。
そしてそれから数日経ち…鼻の付け根、ちょうどメガネの鼻当てが当たるぐらいの場所が 
赤く腫れあがって脈を打つようにずきずき痛む。
顔を洗っても痛い。冷やしても痛い。化粧をしても赤みは取れず。
これも、もしや、折れてる?
 
鼻骨骨折で調べてみたら
「受傷直後に鼻出血」 →
うんうん。そうね。鼻血どばーでした。
「皮下出血、鼻の変形」 →赤いのは皮下出血のせい。変形は…してないかな。
「間もなく鼻の付け根が腫れます」 →は、腫れてる…。
喧嘩やバイク事故などで、男性の受傷が多いのだそうだが。
すみません。喧嘩でもバイク事故でもなく「34歳女子、自爆事故」。どうなの。それ。
 
見た目腫れているものの鼻が曲がってしまった訳でもないので、しばらく放置。
早く治らないかな。あーー痛い。
 
「目が前についているのはなぜだと思う?前へ前へと進むためだ。」
これは、ドラえもん9巻の中で、落ちこぼれのび太君が0点を取った時に先生が言った言葉。
過ぎたことにくよくよせずに前向きに頑張りなさい、ということだ。
確かにその通り。
過去を懐かしみ振り返ることは大事だ。過去の失敗を反省することも大事だけど、
何はともあれ前進しなきゃダメだ。前向きにいれば、きっとその過去を超えられるんだと思う。
失敗を積み重ねても、いつかそれは成功に繋がるんだと思う。
 
だけど…
立ち止まることも大事だよ、闇雲に動いちゃぁダメだよ、とこの名言に付け加えたい。
闇雲に前進すると、私みたいに鼻血を出して転ぶこともあるんだから。
まるで私の生き様そのものじゃないのよっと言われそうだけれど、
こうした小さな積み重ねが生き様になっていくものなので、あながち間違いでもないのだが。
 
さてと。冷えぴたシートでも貼るかな。