はじめの一歩

今日はハムソーセージ職人へ向けての第一歩、初出勤の日。
 
朝6時に起きてせっせとお弁当作り。
早目に出勤して自転車のペダルに力を込めて出勤し初仕事。
これが第一歩になるわけだ。
今日は午前中ソーセージを作り、午後はひたすら洗い物。と書けば、一言で済むのだけれど、
とりあえず何をするにも分からない事だらけだし
あれこれ質問し、教えてもらいながらのよたりよたりと歩きだしたばかりの小さな子どもみたいな1日。
これがしばらく続くんだろうな。
 
実は、社長を除けば製造側では私が最年長。さらに女子は私一人。
(女子で製造希望というのも世の中そう多くないよね…確かに)
誰もが軽々と持ち上げる機器類も一つ10キロを超えるものも少なくない。
それを、「えいやさ」っと持ち上げて、亀の子だわしでわっしわっし洗うのは決して楽な仕事ではない。
あまりに力を入れ過ぎて気合いをいれて洗うあまり、
手からたわしがすこーーんとすっぽ抜けてしまい…
きゃーーっ
びゅーんと茶色の亀の子だわしが宙を舞う
す、すいません!…ってかコントか!
 
パズルみたいにパーツごとにバラバラになるひき肉を作る機械。
それを外して、パーツを熱い湯に付けて、ひとつひとつを洗い吹き上げる作業。
その中で小さな金属パーツを指を刺されながらこれは一番最後に洗ってください、という指示を受けた私。
はいっ分かりました、と返事をするころには、指示をくれた人は私から離れて別の仕事に。
景気良く返事したものの…
一番最後に洗うものがあると言う事は…他にも洗う順番があると言う事か?
 
えーーっと…じゃぁ、一番最初に洗うのはどれ?
 
腹の中で言ったつもりがぼそりと口をついて出てしまい
それが後ろにいた別の人に聞こえてしまい、丁寧に教えてもらう羽目に。
あ、あの…えーーっとそんなつもりじゃ…。
顔を真っ赤にして弁解。
そんな頭にわわわっと血が上る瞬間というのは久々に経験。
 
これはどこへ仕舞えば?
と質問して指をさされた先は私の頭上、すみません、160センチ以上の高さは私範疇外でして…。
と…トドキマセン…うーん、うーん。踏み台が欲しい…。
 
これはここに置いて…と説明する側も、まさか私が機器類を持ち上げられないとは思うまい。
だ、大丈夫ですか?という声かけに
ダ…イジョブ ス! 
おかしな節が付いてしまい頭のてっぺんから出たような高い声。
完全に声裏返ってるし!
他の作業をしていた人もたまらず、ぶっと吹きだす。
 
こんなどうしようもないへんてこりんな新人が入ってきて、教えてくれる側も大変である。
でもよたりよたりとでも、無事に一歩を踏み出せた事は確か。
爆発的な進歩がある訳じゃない。
だけど、それでもいいんだ。
ゆっくりゆっくり。前進あるのみ。