まるで授業参観

うちのホテル自体は小さいものだが、提携のホテルやレストランなど別の店舗もある。
今日はうちのレストランが入っている長野の別のホテルから視察で泊まりに来た人たちがいた。
GMが彼らを引き連れて各部署を回る。

通常バックヤードに人が入ってくる事はない。
予約の部屋はお菓子の国。
常におせんべいや甘いお菓子があふれている。
デスクの上には書類が雑然と散らばり床にはダンボール箱
視察組がやってくると連絡が入り、あわただしく掃除を始める。
お菓子も戸棚にガサガサと片付けられていく。
このダンボールはあちらへ、この書類は机の下へ・・・。
物を移動したら整然としたがガランとしてしまい
何だかすっきりしすぎて落ち着かない。

それから数分して内線電話。
今フロントを出ましたので数分でそちらに向かいます。
さてスタンバイ。あ、上着着なくちゃ。

数人の足音が近づいてきて扉が開く。
なんとなく張り詰めた空気。
デスクに座っていても落ち着かない。
この空気、どこかで経験した事がある。そう、授業参観!

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うちのホテルシステムは、リゾートでこの規模にしては珍しく
かなり精度の高い(といえば聞こえはいいが、非常に煩雑な)
海外のソフトを使っている。
予約受付表のような個々のお客様用に書く紙も、部屋の台帳もなく
全てシステムで一括管理している。
予約のマネージャーがひとしきりそれらについて説明し
実際かかってきた電話の受け答えを見学し、
30分程でチーム授業参観は去っていった。
普通50部屋もないホテルの規模で予約の専属スタッフが5人もいる所なんてほとんどない。
大抵がフロントと兼務する。
だがうちのホテルの仕組み上1本の電話がかかってきてから
受話器を置くまでの時間は平均して15分ほど。
それだけスタッフがいてもメールの返信やら何やらで
仕事は山積し残業数は各部署の中でNo1である。

そんな都合の悪い話は彼らにはしないが、
どうも電話を取る声がちょっと気取った感じになったような気がしたのは
授業参観で率先して手を挙げてしまうのに似ているような気がする。