部屋を売るということ

当日や前日のキャンセルの場合は料金が発生する。
いわゆるキャンセル料。
午前中のうちに行けなくなるかもしれないと連絡を受けていたものがあり、
キャンセル料の案内をその時点でしてあった。

夕方になり再度電話があり、やっぱりいけない、と・・・。
しかも日付を変更するのでキャンセル料を免除してはくれないか、と。
通常夕方にキャンセルが出た部屋などほとんど売れない。
山の中のリゾートにふらっとやってくるゲストもそうそういないし
キャンセルが出た部屋はうちのホテルの中でも最も料金の高い部屋。
当日の問い合わせで高額の部屋が売れる事もなかなかない。
つまりキャンセル料を頂けないと、うちとしては損害である。
だがこのお客様、また来てくれるのを確約してくれている・・・。
・・・悩んだ挙句、今回はキャンセル料はもらわない、とお話した。

電話口で、あーよかった、払わなくっていいってさ。
そんな軽いノリの会話がなされてガチャンと電話が切れる。
何だかそんな言われようがすごく空しい。
お客様の都合もあるだろう。
あるだろうけど、そんな風に言われるのを耳にするとなんとも悲しくなる。

それから10分後。
神様は私を見放さなかった。
『今日は部屋は取れますか?』こんな時間に問い合わせの電話。
しかもカード会社経由のお客様なので多分料金の件はクリア。
問い合わせのこれまた10分後に予約確約の電話。

まさに、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!な瞬間。

部屋を「売る」という感覚はホテルに入ってからもしばらくは慣れなかった。
だがホテルは客室やスタッフのホスピタリティが商品である。
部屋を売り、そしてその滞在する非日常の空間や時間を売るのが私たちの仕事・・・。