小春日和の森の散歩で

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気が付けば立冬が過ぎ、もう11月も半ば。
紅葉シーズンと言っていたのもつかの間。
久々に休憩に山に遊びに行ったら
もう半分ぐらい葉を落として
ふかふかの落ち葉の絨毯になっていた。




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今日は山の上の方では雪がちらついていたらしく、
山は終日雪雲のような雲で覆いつくされていた。
そんな日の山から吹き降りてくる風はとんでもなく冷たい。
散りゆく秋を探して、あっちへうろうろこっちへうろうろ。


歩いたり写真を撮ったりして15分程山を散歩するうち、
気が付けば手はかじかんで真っ赤になり体は芯から冷え切って
上着を着てこなかった事を激しく後悔したのだが
すぐに戻るに戻れない場所におり、
凍えて縮こまってトボトボ歩いて散歩どころでもなくなってしまった。

戻ってきて手を温めようと、洗面所のボールにお湯を張り、両手をゆっくり浸す。
パッと手が真っ赤になり、じわじわと血が巡っていく。
指先に感覚が戻って来る頃、まだ洗面所のボールに背が届かず踏み台を使っていたような
小さかった頃の事を思い出した。
祖父母が音楽の先生だった影響で、毎週末ピアノを習いに通っていたのだが
冬の寒い朝、まずピアノを弾く前にこうして洗面所で両手をお湯に浸して暖めたものだ。
なんとなくその情景がフラッシュバックして、そのときの匂いだとか
ドアの向こうで鳴る姉のピアノの音だとか。
小さな私の視点で見る祖父母の家の応接セットやレッスン室などが一瞬にして戻ってきて
なんだかものすごく懐かしい優しい気分になった。

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祖父母の家も森の中で秋になると
今日歩いた散策路みたいに
落ち葉の絨毯で足元はふかふかだった。
落ち葉を踏みしめてカサカサ音を立てて歩くのと、
それらが朽ちていくときに放つ
ほんのり甘い香りが私は好きだった。




ふと両手を眺めて下を向いていた顔を上げ、鏡に映るのは大人になった私。
いろんなことがあって、いろんな人と出会って別れて。
数十年分生きてきたその姿が今の私。

また数十年したらきっと会社の洗面所で一人お湯に両手を浸しながら思い出にも浸る自分を
思い出すんだろうな。