やっぱり『人』だと思う

新規でいらっしゃるお客様ももちろん大切だが、
気に入って何度もいらしてくださるリピーターのお客様をどれだけ増やせるかで
そのホテルの稼動が維持出来るかどうかが決まると思う。

うちのホテルにも昔から年に何度もいらしてくれている方、
毎年記念日には必ずうちのホテルで過ごしてくださる方、
沢山のりピーターがいる。

だが、うちのホテル、スタッフの入れ替わりが非常に激しい。
3年以上いるスタッフはホテル全体を見ても1人か2人かしかいない。
私が今の会社で勤めるようになってからも、どれだけの人を見送っただろうか。
正直言って、ホテルとしてのうちの顔と、会社としてのうちの顔はまったく違う。
お客様に優しいホテルだと思うけれど、スタッフには正直言って優しくない。
だからスタッフが定着しない。
難破船のねずみみたいに何かある毎に浸水しない場所へ、陸地を探して皆脱出していく。

リピーターゲストが知っている顔を探す光景をよく見る。
電話でもうかなり前に辞めたスタッフの名前を指名してくる話もよくある。
お客様からしてみれば、会社としてのうちのホテルの話は関係ない。
何がしかの理由で気に入って頂き、何度もいらして頂いているのに、
自分の顔を誰も知らない、知った顔が誰もいない、それもなんだか悲しい。
昔からいるスタッフがいれば、お名前をお伺いします、なんていわずに
最初から○○様こんにちは、とご挨拶できるのに。

私の仕事の中に顧客情報に宿泊時に起きた出来事やお客様からいただいた情報、
アンケートで頂いた要望などを事細かに記入するものがある。
次回利用時に、お話できるように、だ。
ヨーロッパのホテルでは、そのホテルの歴史と共に歳を重ねてきたようなコンシェルジェや
また日本の某ホテルにだって車を見ただけでゲストの名前が分かる伝説に近いドアマンもいる。
だがうちのホテルではスタッフよりもリピーターゲストの方がホテルの歴史を知っているかもしれない。
そんな中で、データベースとして残しておく事で
少しでもそのリピーターゲストを知らないスタッフがお客様と親しみを持ってお話をして頂けるように、そう思う。

どんなにキレイな施設でも、どんなに設備が整っていてもそれだけではやっぱり駄目だ。
ホテルで、ホスピタリティを提供するのはやっぱり『人』だと思う。