ホテルマンとして忘れてはいけないこと

楽しく仕事をするかどうか、という話は何度も書いているけれど…。
そんな出来事。

記念日用のケーキの手配。
今までは15cmサイズのものしか出来なかった。
だが大抵2人で記念日を祝うゲストが圧倒的に多い中で、
15cmサイズのケーキはコース料理を食べた後にはちょっと大きすぎる。
衛生上の関係から持ち帰りも出来ない。
受注する予約スタッフとしても、おすすめしにくい所。
そんな話をしていた時に、あと一回り小さいサイズのケーキがあればいいのに…という提案をした。
デザートにアレンジを加えるよりも
やっぱりケーキにロウソクを立てた方がセレモニー的要素も加わるししかも食べきりサイズだ。
料理長にそんな提案。
その提案は受け入れてもらえ、小さいサイズのケーキも作ってもらえる事になった。

…ところが現場からは大ブーイング。「うちはケーキ屋じゃない」
そのブーイングには別の理由があった。
小さいサイズのケーキを作ることで
今までケーキのサイズが大きすぎると躊躇してきたゲストからの受注が増える。
受注が増える=パティシエの負担が増える。
キッチンスタッフの過労、休みも取れない程の人手不足に喘いでいるうちの現状では
現場の負担は確かに大きくなるのかもしれない。
大変なのは分かる。
わざわざ大変になるのが目に見えている事を始める必要はない、と。
だが、その視点は間違ってないか?
そもそもゲストあってこそのサービスなのにスタッフが大変だから辞めようというのはナンセンスだ。
ブーイングが起きた側の弁護をすれば、最初からそんな姿勢だった訳ではない。
休みも取れずに必死に目の前の仕事をこなすばかりの日々に
何が良い事かなんて考える余裕もなくした結果なんだと思う。

会社が悪い、という話で終わりにしたくはない。
だけど、そんな風に余裕のない答えを返してくる現場で、
いい仕事なんて出来るはずがない。
私が声をあげたって、変わらない。
だけど、何だか殺伐とした気分にならざる得ない出来事。
私はどんなに忙しくても、どんなに仕事を抱えても、自分のスタンスは崩したくない。
楽な方向に流れて、ゲストにとっていいと思えることを考えるのを忘れたくない。
なんとなく心に誓った日。