戒めと感謝と

気が利くかどうかということ。
自分に気付く力があるかということ。
今の自分の仕事をしていて、あの人のこの対応は気が利かない、と感じることがある。
だが、冷静に周囲を見られていなければ、本人は一生気が付かない。
先日のアルバイトで痛烈に感じたことだ。
誰に対してでもなく、気付かない、気が利かない、そう自分自身に対して、だ。

アルバイトでは携帯売りの現場監督役の私。接客するだけではない。
例えば電源の入った商品が心無い誰かに盗まれないように警備することや女の子達の体調をみること。
女の子に休憩を適宜取らせること。
お店の人とうまく関係を取り持つこと。
雰囲気をよく楽しく仕事が出来るように場を盛り上げること。
分かっているけれど、呼び込むことに夢中になると、
女の子が接客に入っていて取らせるべき休憩時間がおしていることを忘れている。
にこやかに頑張っている女の子を見ていると、
体調が悪く無理をしているその子の限界のサインを気付いてあげられない。
ふと指摘されてみて、ああ今見えてなかったと反省することしきり。

携帯を売るのが本分かといわれれば確かにそうなのだが、
正直接客ばかりに眼を配ると私は他に注意が払えなくなる。
勿論呼び込みもするし、質問されれば分からないなりに答える努力も
(未だまともに分かっていない私もそれ以前なのかもしれないが)
それこそお客様と世間話もお勧めもする。
忙しければ勿論売り手に回るのは当然。
だが、そもそも売り子の役はキャンペーンガールである女の子。
だから現場監督役の私は影武者でいいんじゃないか、と。
なんていうのはもっともそうな言い訳で、
正直広角レンズな眼になりきれていない自分が
接客するでもなく、周囲の動きを見られるでもなく、
どっちつかずのなし崩しになるのが嫌だからだ。

先日派遣されたお店は、どうも曰く付きの店舗だったらしい。
ちょっと大変かもしれない、と聞いてはいたが、
実際前回の話を聞いてみると店舗の方がかんかんでピリピリした雰囲気。
キャンペーンスタッフはつまみだされそうな勢いだったとか。
数字こそ目標に程遠くあまり賞賛されるようなものでもなかったが、
今回のキャンペーンは終わってみてみんな笑顔。みんなHappy。
とりあえず不幸中の幸い。

だけどそれは私の力なんかじゃない。
周りにいる皆が、不甲斐ない私を助けてくれたからだ。
いつもアルバイトに入ると、未熟な自分へのひどい自己嫌悪とともに
周囲への感謝を感じずにはいられない。
普段の仕事ではない分野で、普段の仕事ではないポジション。
曇りない気持ちで誰かに心から感謝する気持ちをもてるというのはすごくいい経験。
そしておごることなく仕事をするためのいい戒めだ。