言霊

うちの会社の従業員食堂に、2人おばちゃんがいる。
週の前半と後半でそれぞれ別のおばちゃんがご飯を作ってくれているのだが…。
その2人、無茶苦茶仲が悪い。まるで嫁と姑のケンカみたいだ。
それぞれがお互いの悪口を言い合っている。
ケンカはいつもの事なのだが…
姑役のおばちゃんに別の人が加勢して嫁役のおばちゃんは形勢不利になった。
今日は嫁っぽい方のおばちゃんの出勤する日。
何か様子がおかしいので、どうしたの?と声をかけたら、
そのおばちゃん、急に私の胸に顔をうずめて声をあげておいおい泣き出した。
そして私は干支一回り以上歳が離れているおばちゃんをなぐさめる羽目になる。

なんだか私が泣かしたみたいで嫌なので、
人目に付かない場所まで連れて行き話を聞いたのだが
どっちもどっちの子供のケンカレベルの話。
私が介入してどうとかそういう話でもない。
ただ気が済むまで話を聞いて、気が済むまで相手が泣くのに付き合う事にした。
自分が泣く事があっても、人が泣いているのを目の当たりにするのは久し振りだ。
なぐさめる事1時間、少し気が済んだらしく笑顔も少しのぞくようになった。
元気出して、頑張って、大丈夫だから、…おばちゃんを元気付けようと
そんな事を言いながら、何故か少しだけ自分も前向きになった気がした。

口から発せられたその言葉は命を吹き込まれて力を持つ。
プラスの言葉はプラスに、マイナスの言葉はマイナスに作用する。
だからと言って私は自分自身の言葉になぐさめてたんだろうか。
よくわかんないけどそれって結構まぬけな気がする。
私ってかなりおめでたい奴かもしれない。