子どもアレルギー

私は女性として持つ機能に問題がある、その持病の関係で、
子どもが出来にくい。
それを知らされたのは高校生のときだった。
いろいろ調べれば調べる程、暗い現実。
そんなことなら最初から子どもなんて要らないと思った。
というよりもその体の機能を維持するために、痛み苦しむのもつらかった。
将来子どもを欲しいと思うが故に苦しみ
自分の病気を呪い辛い思いをするのもいやだった。

だから子どもを嫌いになろうと思った。
女性にはもともと母性が備わっている。
子どもを見ればカワイイと思うのは当然。
子を産み育てていくためにDNAに組み込まれたものだ。
それに逆らおうと思った。
それは間違っていると今ではわかる。
だって子ども、カワイイもん。
可愛くないなんて言ったらうそだ。

それから数年間、本当に子どもが大嫌いになった。
お客様の子どもの泣き声や叫び声を聞くと気が狂いそうだった。
子連れのゲストのご案内も出来るだけ他の人に代わってもらったりして
異常な程の「子どもアレルギー」だった。
結婚する事も諦めようと思った。
もしも好きになった相手が、
自分の子どもたちでサッカーチームを作るのが夢だったらどうしよう。
一緒になったら相手にも申し訳ないと思ったからだ。
恋愛はしたいけれど結婚はしない。
なんとなく一生1人でいるんだと決めつけた。

何をきっかけにしてそう思ったかなんて忘れたけれど、
ある時ふと気が付いた。
そんな風に意地を張る自分が間違いだということに。
勿論女性として生まれ、結婚し、子孫を残す事は
生きとし生けるものとして生まれた以上至極当然のこと。
だけど今の社会は結婚して子どもをもうけず生きるカップルも多いし
そういうライフスタイルもそれはそれで受け入れられつつある。
子どもを産むことが全てではない。
きちんと私の体の状況を相手に説明して理解をしてもらい
そして、本当に欲しいと思ったらそのときに治療をすればいい。
可能性はゼロではない。ただ人よりも難しいだけだ。
カワイイものはカワイイし、結婚したいと思うのならそれでいい。
何かを無理矢理ねじまげるのは、やはり歪んでいるし間違っている。

それにしてもどうして高校生のときにそんなに思いつめたんだろう。
周りに相談出来るような内容でもなかったせいか
自分で考えて思いつめて勝手に結論を出した結果だと思う。
そう気がついたら、なんだか楽になった。
それからは別に泣き叫んで駄々をこねる子どもを見ても何とも思わないし
何より昨日なんて甥っ子とフルスロットルで普通に遊びまわっていたぐらいだ。
(多分ベビーシッターというよりは同じ目線で、だが。)

別に今、結婚したいとは思っていないし
幸か不幸か第一その予定すらない。
自分で今頑張りたいと思う事があるから。
そろそろいい人を見つけて結婚しないと…なんて歳の真っ只中なのだが
ちっとも関心を持とうとしないのはかつて意地を張っていたそのせいだ。
私は私。気にしない、気にしない。