深夜の血の池地獄

火傷した。理由は他愛もないことだった。

真っ赤なハーブティーがある。
ローズヒップやハイビスカスが入った酸味の強いものだ。
ティーパックのハーブティーを飲もうとお湯を沸かし、マグカップにお湯を注ぐ。
しばし待って、そのパックは取り出すのだが、
パックに紐の付いていないタイプのものでパックの隅を指でつまんで取り出したら・・・
あまりの熱さにそのひたひたのティーパックをぽいっと放り投げてしまい
その赤いティーパックは宙に舞う。
その行き先は・・・ゆっくり弧を描いて落ちていきさらに見事私の左腕に着地。
お湯の温度はたぶん90度ぐらい。故にそのパックも80度をゆうに超える温度だっただろう。

慌てた私はその拍子にマグカップをひっくり返す。
真っ赤な液体がそこらじゅうにこぼれてまるで血の池地獄
そして、その血の池地獄の惨状を見て更に慌てた私は左腕に熱々のパックをひっつけたまま
やれ雑巾はどこだ、ああカップがこんなところに転がって・・・と部屋の中を右往左往。
それを片付け始めた所で、やっとパックが左腕に乗ったままだったことに気づいた。
赤い色は人を活気付かせ、また闘争的にも攻撃的にもさせる色だと色相心理では言われている。
・・・つまり慌ててパニック状態を更に助長したってことかな。

すぐに気づけばなんてことなかっただろうに。
お湯の火傷なので程度は大した事はないのだろうけれど、
ヒリヒリ痛むし腕の柔らかい部分に3cm×5cm、
つまりそのティーパックサイズの真っ赤な跡が付いている。
冷やしても痛みは引かないし、それを見て間抜けな自分に腹はたつし
なんだかやり場のない気分だ。