冬の散歩の戦利品

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気づけば明日はクリスマスイブ。
カレンダーは見ているのだけれど、なんだかここ数日世間から隔絶した生活を送っているせいか
その日にちを見てもクリスマスだとか年の瀬だとかそういう実感が全くない。

今日ノロウィルスの検査結果が出なかったせいで明日も出勤出来ない。
さらに明後日はもともと公休・・・最後に出勤したのはいつだったか忘れそうだ。
どれだけ私は休むんだろうかと考えたらなんだかちょっと暗澹とした気分になる。
そんな沈んだ気分を払拭したくて散歩に出かけることにした。
普段どんな近距離でも車で出かけてしまう私、歩いて出かける事自体結構稀なことだ。
気づけば2日も外に出ていない。外の空気もたまには吸ってもいいかな、と。

歩いて5分のホームセンターで日用品を買い物した後で国道沿いをてくてく。
クリスマス前の週末というだけあってか、道路は県外ナンバーの車で交通量はいつもよりも多い。
歩いていたら路肩に何台かハザードをたいて止まっている車。
なんだろうと思えばそこはケーキ屋の前。
ケーキ屋の明かりと小さな店内が人で賑わう様子を見てなんとなく吸い込まれるように店に入ってみた。
ガイドブックなんかにも載っているその有名パティシエのケーキ屋は明日のイブを控えて大忙しの様子。
奥のキッチンでは若いスタッフ数人と看板パティシエらしき男性がせっせと手を動かしていた。
店の中にはなんとかホールのケーキを予約したいと掛け合う中年のおじさんと
車の中に彼女を待たせて予約のケーキを引き取りにきた若い男性。
そして散歩の途中にひやかしの入った私、そのほかにも数人・・・。
もともとケーキを買いに出たつもりもなかったのだけれど、ご注文は?と聞かれて
決めかねてえーっと、あれと、これと、それと・・・一人でいくつ食べるつもりなんだろう、私。
ショーケースの上には無造作に籠に放り込まれたたくさんの複写の予約票。
明日一斉にこの予約票の片割れを持った人たちがケーキを引き取りに押しかけるわけだ。
こりゃ大変だ。

思いがけず大量に買ってしまったケーキの箱を大事に抱えて散歩は続く。
普段静かなペンションも車がたくさん止まっていてちょうど夕食時の様子。
ちょっと悪趣味ではないかと思う程のイルミネーションが瞬くログハウスの焼肉屋からはいい匂いが。
そして予約制のイタリアンレストランは隣の空き地に車があふれており店の中はカップルで満席。
忙しそうにギャルソンがテーブルを回っていた。
そんな様子を見ながらああ何となくクリスマスなんだなって実感が湧いてきた。
でもその喧騒を外から眺める私の周りはとても静かだ。

顔が痛くなる程しんと冷え切った細く月が光る空の下歩き回り
そしてファンヒーターで暖まった部屋で予定外の一人ケーキバイキングを敢行した頃には
暗澹とした気分なんてすっかり吹っ飛んでしまい冬の夜を静かに満喫。

で。ケーキはいくつ食べたか・・・は内緒である。