深夜のほうじ茶作り

緑茶には昔からうるさい。
小さい頃からジュースにも炭酸飲料にも見向きもしない、やたらお茶好きな変な子どもだった。
そういえば食事処で子どもだからとお茶でなく水が出てくるのが不満で仕方なかったっけ。
更に色だけで全く味のしないお茶を交換してもらった事もしばしば。
大人になってからも多分それは変わらない。
家で飲むのは大抵自分で淹れた熱いお茶

一煎目で香りを楽しみ、二煎目では味と渋みを楽しむ。
三煎目以降では味も香りもないのでお茶は二煎目まで。

昔からそんなウンチクを言いながら、母が淹れたお茶を
これは三煎目で味も香りもなくて美味しくないと
自分で淹れなおしたりすることもしばしばだった。
それは今でも変わらない。
ちなみに今飲んでいるお茶は静岡の市川園で購入したもの。

冷凍庫を整理していたら、飲みかけで保存してあった緑茶が出てきた。
だいぶ前に開封したまま忘れていたらしい。
淹れてみたら・・・冷凍庫の匂いが付いて風味が飛んでしまっていて美味しくない。
捨ててしまうのももったいないので、フライパンで炒ってほうじ茶にすることにした。
お茶のいい香りが部屋中に広がりなんだかほっこりした気分。
腱鞘炎になるんじゃないかというほど延々フライパンを揺すり、木べらでかき混ぜ根気よく・・・。
だがいい香りはしているのだがいつになっても色が変わらない。
いつも飲んでいるのは値段が安い割に味がいい茎茶。
そう、葉でなく茎を私は炒っている。そりゃ時間がかかるはずだ。
火力を上げれば焦げてしまう。でも弱火では茎に火は通らない。
たまに中火にして、焦げそうになったらフライパンを火からおろし、また弱火で。
気づけばお茶の葉につきっきりでなんと1時間半
途中で思いついて始めた自分を呪い始めていたのだが、もうこうなると意地である。

それにしても深夜にいったい私は何をしているんだ。
やり始めると徹底的にやってしまう私。

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出来上がった炒りたて茶葉を急須に入れると
『じゅっ』と音がした。
お湯を注ぐと急須から立ち上る甘い香ばしい香り。
そしてキレイな琥珀色。
今まで飲んた事がないほどのいい香りだ。
加賀棒茶という茎茶を炒ったほうじ茶がある。
昭和天皇に献上したとかいうそのお茶が
多分ほうじ茶の中で一番美味しいと思っているのだけれど
この自作棒茶も負けないぐらいかなり美味しい。


というか、こんなに手間ひまかけて自作して淹れたお茶がまずい訳がない。
なんだか究極のスローライフである。