1250グラム

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人体の不思議展に行って来た。
タイトルの1250グラムは
女性の平均的な脳みその重さだそうだ。

プラストミックとかいう特殊な技術で腐敗させずに保存された、
その展示物はかつては生きていた人間だった。
今は樹脂を染み込ませたプラスチック化した物でしかないのだろうけど
今にも息づかいが聞こえそうなそれらを
息を呑んで見学。

内臓や脳、そして骨格、筋肉、血管、自分の体内にも同じ物がある訳で
樹脂を染み込ませられたそれはリアルだけど乾燥していて気持ち悪さはそんなでもない。

だけど。
よくよく考えてみれば、これらって元々は生きていた方々のご遺体。
それが十数体も陳列されて、物によっては厚さ1センチぐらいの輪切りにされていたりする。
脳を実際に手に取って重さを感じてみてください、とぶら下げられた脳みそが置いてあった。
それは模型じゃない。本物の脳みそだ。
いつそれが無機物と化したのかは知らないけれど、
生前物を考え、悩み、笑い、怒り、その1250グラムの中には血流が流れて
電気信号が活発にやりとりされていた訳だ。
亡くなったその本人は、自分の脳みそがいろんな人に触られるなんて思いも寄らなかっただろうに。

『本展で展示されているプラストミック人体標本は、
すべて生前からの意志に基づく献体によって提供されたものです』
そんな風に書いてあった。
だけど、献体する事を決めた彼らは、まさか展示物としても使用していい、と了承したとも思えない。
帰ってから調べてみたら、この標本たち、中国からやってきたもののようだ。
中国政府の外貨取得の手段となっていて・・・人身売買じゃないの。
更に死刑囚らしいなんて話もあり・・・
死んで罪を償うはずが死んでもまだ曝される事になるなんてなんだか可哀想。

医学的な展示のはずが、何だかその輪切りにされる前、
人間だった頃の彼らに思いをはせてしまった。

ちなみに、お土産コーナーでは心臓ボールペン、胃シャープペンシルなんて物まで売ってた。
・・・いらない。