蛍の光とお客様の涙

蛍の時期がやってきた。
とはいえ私自身まだ1匹も見ていないが。。。
自然を楽しむプログラムに、この時期蛍を見に行くツアーがある。
結構人気が高いもののひとつだ。
闇にフワフワと光る沢山の蛍の淡い光は幻想的でなかなか見られるものではない。

そんなツアーに参加の予約をされたお客様。
集合時間にお集まりになり係が迎えにやってきて手続きをした後、
車で蛍スポットまでご案内する。

若いカップルが予約をしていると時間の10分程前にやってきた。
係が迎えに来るのでお待ち頂くようお伝えして更に20分。
その間にツアー担当スタッフは予約のお客様の手続きをして出発した。
・・・が。
そのカップルがフロントにやってきた。まだですか?と。
なぜここにいらっしゃる?!?!
目を白黒させる私。
名前と部屋番号と伺ったがリストには彼らの名前はなくなんと予約漏れ。
(なんだかやたら予約漏れが重なった日だった)

既にツアーには出発しており、担当に掛け合ったが追加スタッフの派遣も難しい。
お客様にその旨お伝えすると、女性の目にみるみる涙。
本当に楽しみにされていたとのことで泣き出してしまった。
どうしよう・・・。
お連れの男性はしきりに女性をなぐさめ、なだめるがどうにもならない。
その方、お連れの男性のお誕生日のために蛍を見せてあげたかったのだという。
ちょっとした修羅場。・・・私も泣きたい。

予約を担当したスタッフはただの問い合わせだと思いこみ、
お客様は予約をしたと思い込んでいらっしゃった。
が、そんな事はこの際どうでもいい。
この方、どうしても蛍が見たいのだから。

蛍をよく見られるスポットを知っていたフロントスタッフがいた。
この際料金もなにもない。ツアーもへったくれもない。
とにかくそのスタッフに急遽車を出してもらい、
そのまま彼らを蛍スポットにご案内することにした。
彼らのためだけの即席プライベート蛍ツアー。

2時間後、お戻りの時には泣き顔から一転して女性の顔には笑顔が戻っていた。
本当に良かった。

で、話は変わるがそんな蛍。
私も見たいのだがそんな暇・・・ない。