吸い込まれそう

目的地を探してさまよう途中、なんだか気になる看板を見つけた。
『天然記念物、 赤坂の釜渕』
路肩に車を停めて、遊歩道らしき道を進んでいくと・・・

イメージ 1
そこは浅瀬からの落差を経て
深い深い渕に流れ込む場所だった。
どうも川を見ると突き進んで入りたくなる私、
流れ込む渕の水に試しに手をかざしてみる。
だが岩肌を滑らかに流れ注ぎ込んでいくその水流は
とても流れが速くかざした手はそのまま吸い込まれて
渕に沈んでしまいそうな錯覚を覚えて背筋がぞくりとする。

そこにある一番大きな石の上にどっかりあぐらをかいて
持ってきた冷たいお茶を飲みながらしばし休憩。
涼やかな景色に、自分が何しにここに来たのか忘れてしまいそうになる。
目的地が見当たらず迷子になっていた事すら多分忘れていた。

時間が経ってその場の雰囲気に少し慣れても
それでもやっぱり渕に吸い込まれそうで
ほんの少し恐くなりその場を後にした。
来る途中には気がつかなかったのだが、
小さな祠があって、そこには『水難者慰霊碑』
・・・私もしかして呼ばれた?

幽霊とか心霊現象とか全くもって縁のない私だけれど
何となく寂しい感じがしたのはそこに沈んだ人たちの念だったのかしら。
お邪魔してごめんなさい。