おうちに帰ろう

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こんな景色を見ると、となりのトトロを思い出す。
妹のメイが入院するお母さんのところに
とうもろこしを届けようとして迷子になり途方にくれて空を仰ぐシーンみたい。

そろそろ日が暮れるよ。
おうちに帰ろう。
群馬で見上げた夕暮れの空。

夕焼けの茜色から夕闇が迫るこの空を見ていると
何だか家路に急がなければいけない気分になる。
夕ご飯の時間だから。
お母さんに叱られるから。
でも、別に今の私は夕ご飯なんて食べたいときに作って食べればいいし
家に帰っても一人なので当然のことながら母に叱られることもない。
だけど、やっぱり『帰らなくちゃ』と急いた気分にさせられるのは
その場所の空気がそう思わせるのか、それとも帰巣本能なのか。

そんなノスタルジックな思いにひたりながら、もうひとつ思うこと。
そろばん玉のように並ぶ、鉄塔と電線を絶縁するために間に付いている白い陶器のような『がいし』。
子どもの頃、なぜだか鉄塔を見る度にこの『がいし』が気になって仕方なかった。

送電のワット数に応じて、鉄塔の形状、がいしの数も変わってくる。
子どもの頃何故かこのワット数別のがいしの数、鉄塔の形状を記した表付きのメジャーを持っていて
あの鉄塔は何万ワットの送電で・・・なんて思ったり
また、山岳地帯の発電所近くの高圧送電用の変わった形の鉄塔を見て、
なんだか意味もなくドキドキしたり…。

この歳になって連なるがいしの数を数えようと思わないし
また鉄塔の形別のワット数なんてもう忘れてしまったけれど
未だにこういう鉄塔を見るとそんな変わった子どもだった自分を思い出して苦笑いしてしまう。

きっと私が年老いて呆けたら
きっと途方もない場所までうろうろと徘徊し、そして間違いなく送電線をよじ登るだろう。
正気でいる今の時点でもかなり徘徊に近い放浪癖なのだから。