倒木

台風が過ぎ去って数日が経つというのに、
隣町の一部ではまだ停電が続いているという。
県外から応援にかけつけた電力会社の車も多数。
急ピッチで復旧作業に当たっても間に合わない程の被害ということだ。

とんでもない数の倒木。
幹からボキンと折れた訳ではなく、根こそぎ倒れて根っこが空を向けてしまっている。
高さ数十メートルという立派な木々が何故根こそぎ倒れてしまうんだろうと思っていたら、
この土地特有のものだった。

数年前、噴火した浅間山
幾度となく大噴火を繰り返した浅間山のふもとにあたるこの土地は
火山灰や軽石が積もった地層だという。
木が根を張れる柔らかい表土は50センチほどしかない。
それゆえ木は地中深くに根をはるのではなく浅いところで横に根を這わせているのだそうだ。
大量の雨で地盤が緩み、そこへきての強風。
根が浅いこの土地の木々はそれに耐えられず次々と根こそぎ倒れた、ということらしい。
なるほど。納得。

中洲がなくなってしまうほど増水してしまった近くの川も
少しずつ落ち着きを取り戻しつつある。
近所のホームセンターに買い物に出向いたら、
防災の日に合わせて作ったと思われるコーナーがあったのだが
LEDの懐中電灯と携帯ラジオは欠品のままだった。
みんな停電の不安な夜を過ごす中で必死に買い求めたんだろうな。
当の私といえば、不安な夜というよりは、暗闇の中で
対処に追われて右往左往しているうちにあっという間に過ぎ去っていった訳で。
その緊迫した空気を思い出すと具合が悪くなりそうなぐらい、トラウマになりそう。

いずれにしろもう台風はこりごりだ。