言葉以外にあるもの

耳にしたことをそのままの意味に捉えるタイプの人がいるとすれば、
私は、全くその逆だと思う。

大抵コミュニケーションを取る上で、相手の発した言葉をそのまま受け取る事はない。
その背景にはどんな思いがあるのか?
相手はもともとどんな考え方をするのか?
ともすると、相手はどんな環境に育ったのか?
今どんな立場におかれているのか?
とにかく可能性としていろいろ考えた上で、
その結果、その言葉通りだと思う事もあるし、
その背景にはこんな思いがあってのことだろうと、
直接的な言葉以外の面から相手の心情を汲むこともある。

そこにあるのは、想像力。いやむしろ妄想力かもしれない。
言葉には、抑揚だったり、声のトーンだったり、それを発する時の相手の表情だったり、
耳で聞いた言葉以外にも与えてくれる情報が沢山ある。
だから相手とのコミュニケーションを取る上で難しいのは
文章だけの対話>電話など声だけの対話>相手の顔が見える状態での会話 だと思う。

文字だけのコミュニケーション、つまりメールなどで
自分の言わんとすることを相手にそのまま伝えられているのは
たった20%だという話を聞いた事がある。
文字には、それ以外に汲み取る術がない。
例えば、『あら、そうなの』というあいづちの言葉が、
なるほど、という意味をこめての言葉なのか
そうなんだ、という発見があっての言葉なのか
ふーん、という大した意味もないあいづちなのか、その言葉だけでは汲み取れない。
だから正確に思いを伝えようと文字にすると、実際の会話よりも言葉数が多くなる。
私のブログの文章が長いのはそのせいだ・・・多分。
文章を簡潔に書く能力に欠けてるんじゃない、きっと、と自分に言い訳。

そう思うと、普段の会話で耳で聞いた言葉以外の面からその意味を読み取るために
目や耳で取り入れる情報は膨大だ。
だって例えば言葉で相手の思いを100%理解出来ると仮定したら、
80%は発せられた言葉(文字)以外の面から、ということだろうから。

実際心が透けて見える訳でもないし、単純に言える話ではないけれど、
人と接する職業というのは、つくづく難しいと思う。
想像力が先走りしてしまい脱線してただの妄想に走る事も多くある。
でも、誰かと接する上で常に後ろにあるものを汲むためのアンテナは
仕事でも私生活でも張り続けていたいなって思う今日この頃。