東京の空を見上げて

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東京の空は明るい。
足早に通り過ぎる人の波は途切れない。
車の音に、クラクション、どこからか聞こえるお店のBGM、街灯で歌う女性の声。
暗くなったらひっそり静まりかえる、山に住む私にとっては多すぎる情報量。

歩きながらノートパソコンを操作する男性。
通りに面したカフェを覗いたら、
横並びに座っていた全員が携帯電話を操作していた。
なんだか不思議な光景。
風は確実に春の訪れを感じるのに、ビルの谷間にはそれを実感させてくれるものがない。
そんな事を思いながら、昼間通りがかった花屋さんを思い出し、
入り口で売っていた黄色とオレンジ色を基調にしている小さなブーケを買った。
何となく自然が恋しくなったのかもしれない。

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何かに引きつけられたように
ぶらり花屋で立ち寄って衝動買いした花を
グラスに生けながら思った。
今の家では、キジのけたたましい鳴き声に
早朝叩き起こされる。
スーパーに買出しに出るには、
15分山をくだらなければいけない。
でも夜は夜らしく闇があって、
そして木々の芽ぶきを待ちわびる
こんな山の暮らしも、悪くない。